研究課題
大腸癌に対する全身化学療法はこの数年で飛躍的な進捗をとげているが、いまだその予後は不良で、さらなる治療法の開発や新たなアプローチが必要となる。一方、悪性腫瘍の進行に伴う体重減少は、癌悪液質と表現され、食欲不振、骨格筋量減少を呈する病態でありQuality of life(QOL)の低下を引き起こす。とりわけ転移性病変を持つ悪性腫瘍患者において悪液質は併発しやすく、転移性病変が致死的ではないにもかかわらず悪液質を発症する症例は少なくなく、その頻度は8割にも及ぶとの報告もある。しかしながら、遠隔転移症例に併発する癌悪液質発症の機序はいまだ不透明な部分が多く、遠隔転移誘発癌悪液質発症の機序を解明することは、癌悪液質に対する新規治療標的になりえるほか、癌悪液質発症高リスク症例群の早期診断や、病期進展モニタリングを可能としうる非侵襲的バイオマーカーの確立につながる可能性がある。本研究は、注目を集めつつある大腸癌における遠隔転移誘発悪液質発症にかかわる血清中miRNA群を同定し、新たな非侵襲的診断マーカーを確立し、癌悪液質の機序解明と治療法開発を目的とするTwo way approachを行い、極めて予後不良な経過をたどる悪液質に苦しむ大腸癌患者の予後・QOLの向上をめざすことを目的とする。本年度は研究計画に従い、これまで絞り込んできた候補miRNAの中から多数検体を用いた解析で有力な候補miRNAに関して、その機能解析を行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Journal of the Anus, Rectum and Colon
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