研究課題
膵癌(PK)外科治療における腹腔洗浄細胞診(CY)陽性はNCCNガイドラインでは遠隔転移と同義とされ予後規定因子である。しかし2019年本邦診療ガイドラインではCY陽性膵癌に対し膵切除を行うべきか否かは明らかではないとされ、細胞診には診断法の施設間差や検出感度に相違があり、腹腔浮遊癌細胞(PTC)のviabilityが必ずしも加味されていないため腹膜再発を正確に予測できず膵切除決定因子となっていない。Telomerase reverse transcriptase geneとGFP gene promoterを組み込んだウイルス製剤TelomeScanを応用しPTCのviabilityを加味したCY診断能を評価した。2015年1月からPK53例を対象に開腹時にパパにコロウおよびMOC-31染色を基軸としたconventional CY(conv-CY)と同時にCEA, CA19-9, EpCAM免染を付加したTelomeScan CY(Telo-CY)を実施し診断能比較と腹膜再発など予後との関係を解析した。CY判定では6例にconv-CY(+)、12例にviable PTC(v-PTC)を検出しTelo-CY(+)と診断した。組み合わせではconv-CY(+)/ Telo-CY(+)は2例、conv-CY(+)/ Telo-CY(-)は4例、conv-CY(-)/ Telo-CY(+)は10例、conv-CY(-)/ Telo-CY(-)は37例であった。conv-CY(+)/Telo-CY(+)2例共に術後7~8カ月で腹膜再発が出現し癌死した(100%)。一方conv-CY(+)/ Telo-CY(-)4例では全例腹膜再発はなかった (0%)。またconv-CY(-)/ Telo-CY(+)10例では4例(40%)に術後平均8カ月で腹膜再発した。conv-CY(-)/ Telo-CY(-)22例では4例(10.8%)のみ腹膜再発し、Telo-CYが腹膜再発予測に有用であることが示唆された。cell viabilityを加味したTelo-CY診断は腹膜再発の予測ツールとして有用であり、進行膵癌では術前審査腹腔鏡によるconv-CYおよびTelo-CYの結果が膵切除実施の重要な因子となることが示唆された。現在、AIを応用した自動v-PTC検出システム確立を進めている。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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