• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

難治性消化器がんを標的としたホウ素中性子捕捉療法の開発と効果予測マーカーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K09122
研究機関岡山大学

研究代表者

寺石 文則  岡山大学, 大学病院, 講師 (40432661)

研究分担者 藤原 俊義  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00304303)
道上 宏之  岡山大学, 中性子医療研究センター, 准教授 (20572499)
重安 邦俊  岡山大学, 大学病院, 助教 (70544071)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードホウ素中性子捕捉療法 / ホウ素薬剤 / 消化器がん / アミノ酸輸送体 / BPA
研究実績の概要

本研究は、難治性消化器がんを標的とした新規ホウ素薬剤を用いたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の開発・実用化を目指す。今年度はin vitroおよびin vivo実験を中心に行い、原子炉施設での中性子照射実験を開始した。
in vitroでは、免疫染色法やELISA法を用いて数種類の消化器がん細胞株を腫瘍マーカーの発現により群別化した。次にウェスタンブロット法および公開データを用いて、各がん細胞におけるアミノ酸輸送体および新規の腫瘍特異的輸送体の発現を評価した。これらの結果を基に、ヒト消化器がん細胞株へ従来のホウ素薬剤(BPA)および新規ホウ素薬剤を取り込ませ、細胞種および条件設定よる取り込みの評価を行なった。
またin vivoでは、異所性(皮下)および同所性モデルマウスを作成し、がん細胞株の移植の可否を確認した。モデルマウスに新規ホウ素薬剤を実際に投与し、腫瘍内への取込を確認した。
今年度は、ホウ素取込がん細胞株を作成し、原子炉施設にて中性子照射を行なった。照射後に細胞増殖アッセイおよびコロニーフォーメーションアッセイを行い、殺細胞効果を確認した。
また、バックアッププロジェクトとして、当院で手術を行った膵がん臨床サンプルを用いて膵癌遺伝子検索での標的遺伝子探索を行なっている。予後に着目し群別化したマイクロアレイ16例の解析、さらに腫瘍マーカーに着目し群別化したRNA-seq20例の解析を実施しており、新規ホウ素薬剤取込のための標的分子を同定中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vitroでは昨年度に開始した実験結果を元に、ウェスタンブロット法や公開データの解析を用いて、新規ホウ素薬剤の細胞内取込に関する腫瘍特異的輸送体を同定した。またホウ素薬剤(BPAおよび新規ホウ素薬剤)投与による、消化器がん細胞内へのホウ素取込を確認し、現在は投与薬剤濃度などの条件設定へと進捗している。
in vivoでは異所性および同所性モデルマウスの作成に成功し、新規ホウ素薬剤の投与による腫瘍細胞内へのホウ素取込を確認した。
また原子炉施設でのホウ素取込がん細胞株への照射により、抗腫瘍効果を確認した。
バックアッププロジェクトである、膵がん臨床サンプルを用いた遺伝子解析に関して、マイクロアレイおよびRNA-seqのサンプル作成・解析に進展し、膵癌予後規定標的遺伝子の探索と共に、アミノ酸輸送体関連分子ならびに新規ホウ素薬剤治療のための標的分子をバイオインフォマティクスにより同定中である。

今後の研究の推進方策

in vitroでは、ヒト消化器がん細胞株へ従来ホウ素薬剤(BPA)および新規ホウ素薬剤の取込に関して、ホウ素薬剤濃度や微小環境を考慮した最適な条件設定を模索していく。またホウ素薬剤の毒性評価および経時的細胞内局在評価を行い、中性子照射に向けた至適条件設定を行う。in vivoでは異所性(皮下)および同所性モデルマウスにおいて、ホウ素薬剤投与後に薬剤動態評価および各種臓器でのホウ素濃度測定を行い、ホウ素薬剤の生体内局在および毒性の評価を行う。
上記実験結果より至適条件でのモデルマウスに対して原子炉施設にて中性子照射を行い、遺伝子背景に合わせた、従来および新規ホウ素薬剤の併用によるBNCTを用いたプレシジョンメディシンついて模索を行う。さらに中性子照射によるアブスコパル効果についても評価を行う。
遺伝子解析において、予後別および腫瘍マーカーに関連した特異的発現遺伝子の発現を比較する。またGO解析やパスウェイ解析を用いて、遺伝子背景に合わせた特異的亢進代謝経路の同定を行い、膵癌プレシジョンBNCTの前臨床研究データの収集を行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス蔓延により参加予定としていた国際学会がキャンセルとなったこと、購入予定であった試薬やマウスを実験の都合(順番)上、次年度に購入した方がよいと判断したため。また、新規ホウ素薬剤の合成安定に向けた薬剤調整が引き続き必要なため。

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi