研究課題/領域番号 |
19K09124
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
梁井 公輔 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10621055)
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研究分担者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
三好 圭 九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
永井 俊太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90755240)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PTPN3 / 膵癌 / 診断補助因子 / 予後予測因子 / 治療標的因子 / 増殖 / 浸潤 / 腫瘍形成能 |
研究実績の概要 |
難治性である膵癌の新規治療法を開発するために、チロシン脱リン酸化酵素:protein tyrosine phosphatase non-receptor type3 (PTPN3)が膵癌に対する1) 診断補助因子、2) 予後予測因子、および3) 治療標的分子となり得るかを検証することが本研究の主目的である。2019年度はPTPN3分子の治療標的としての検証を行った。膵癌細胞株SUIT-2およびPANC-1を使用し、PTPN3 siRNAでPTPN3発現を抑制する方法を用いて形質変化を解析した。PTPN3 siRNAの導入によりPTPN3発現は、control siRNA導入細胞と比較して、0-30%まで発現が低下することをwestern blot法で確認した。増殖能の検討は細胞数計測により行った。2つの細胞株共に、PTPN3を抑制した細胞株で増殖能が有意に低下することが分かった。次に、遊走能、浸潤能の解析をチェンバー法を用いて、上層から下層へ移動する細胞数を計測する方法で行った。結果は、2つの細胞株共に、PTPN3を抑制した膵癌細胞株で遊走能、浸潤能は有意に低下することが分かった。現在、免疫不全マウスを用いてPTPN3を抑制した膵癌細胞株とcontrol siRNA導入膵癌細胞株を皮下移植して、腫瘍形成能、腫瘍増殖能、転移形成能などを比較検討しているところであり、形成された腫瘍はKi67、VEGFなど免疫染色を行う予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、治療標的としての検証として増殖能、遊走能および浸潤能を検討した。膵癌細胞のPTPN3抑制により、増殖能、遊走能および浸潤能が有意に低下することが分かり、PTPN3が膵癌の新規治療標的となることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
免疫不全マウスを用いてPTPN3を抑制した膵癌細胞株とcontrol siRNA導入膵癌細胞株を皮下移植して、腫瘍形成能、腫瘍増殖能、転移形成能などを比較検討する。形成された腫瘍はKi67、VEGFなど免疫染色を行う。また、PTPN3分子発現制御による癌治療法開発のためのPTPN3分子発現に関与する経路の網羅的解析、を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子導入や癌形質変化(増殖、浸潤など)の実験が、極めて順調に遂行でき、予定していた再実験のための抗体やsiRNA購入費用が抑制できた。来年度は、免疫不全マウスを用いた治療実験やPTPN3分子発現制御による癌治療法開発のためのPTPN3分子発現に関与する経路の網羅的解析の実験を予定しており、これらの実験に使用したい。
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