研究実績の概要 |
近年のImmune checkpoint阻害剤(ICI)の成功は、癌治療に大きなbreak throughをもたらし、ICI+抗癌剤が消化器癌の1次標準治療として確立しつつある。しかしICIの効果を最大限にすべき複合免疫療法の最適化は改善の余地がある。我々は、抗がん剤ではなく、放射線照射がImmunogenc cell deathを惹起し、複合免疫療法として、ICIのパ―トナーとして有力であるとの知見を積み重ねてきた。そこで、本研究は、放射線照射が腫瘍免疫環境にいかに作用して、ICIとの相乗効果を最大限発揮させるかを明らかにする目的で、通常診療で照射とICIを受けた食道扁平上皮がん患者を対象に、前向きの観察研究「E-サーキット試験」を立案、実施した。20名の患者リクルートが終了し、計画の検体収集が行われた。そして、本試験による経時的な検体(末梢血リンパ球)を対象に、(a) CyTOFbased, high-dimensional MHC multimer analysis, (b) TCR repertoire analysisを実施、その免疫環境の変化、バイマーカー検索を行うことを骨子とする。特に、CyTOF-based, high-dimensional flowcytometerのシステムは、少量のリンパ球で、30種類の表面抗原を多次元で同時解析することにより、どの腫瘍抗原を認識するどのような機能をもったT細胞が、経時的にどう変化するかの動的変化が定量的に評価できる特徴を持つ。すなわち、放射線照射により、新しい抗原を認識するT細胞が誘導されるのか、また、このT細胞は、nivolumabによって機能が維持されるのか(re-invigoration)が判明する。さらにこれらのT細胞の動的、定量的変化が、治療効果と、いかに相関するのかが検証できる。
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