研究課題
健常人の末梢血から密度勾配遠心で好中球、リンパ球を分離、好中球をPMA 1μMもしくはLPSでそれぞれ15, 30分間刺激を行い薬剤の影響を除くため3回洗浄して4時間培養し、NETsを産生させた。リンパ球をCD3抗体とr-IL-2 10ng/mlで7-14日間培養して活性化した後、ダブルチャンバーの上層に、CXCL11 microg/mlおよびNETsを含む好中球成分を下層に添加し、1時間後に下層に遊走した細胞数の割合を計測した。CXCL11に対する活性化Tリンパ球の走化性はPMA刺激好中球の存在により著明に抑制された(1.34±0.01% vs 0.08±0.01%, p=0.0001)。また、Tリンパ球の遊走の抑制効果はPMA刺激好中球から遠心でNETs成分を除去した液性成分のみでも認められたが、この抑制効果は下層にCatalaseを添加すると部分的に解除された(p=0.0162)。Tリンパ球の2次元のrandom migrationをTimelapse動画で解析すると、PMA刺激好中球の上清の添加で瞬時に運動が低下することが確認された。LPS刺激好中球もPMA刺激好中球と同様に抑制効果を示したが、NETs成分を除去した液性成分はTリンパ球の遊走を抑制しなかった。LPS刺激好中球によるTリンパ球の抑制はプロテアーゼ阻害薬であるphenylmethylsulfonyl fluoride (PMSF)もしくはNeutrophil Elastase Inhibitor(NEI)で完全に解除された。またCXCL11に対する抗体を用いたウエスタンブロットにて、CXCL11とLPS刺激好中球を混合すると8kDのCXCL11に対応するbandは消失したが、PMSFまたはNEIを添加するとbandは残存した。
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