研究課題/領域番号 |
19K09136
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
熊谷 厚志 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (40383848)
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研究分担者 |
若槻 尊 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器内科, 副医長 (60443876) [辞退]
馬島 哲夫 公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター 分子生物治療研究部, 主任研究員 (30311228)
山口 研成 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器化学療法科, 部長 (10321845)
佐野 武 公益財団法人がん研究会, 有明病院, 病院長 (30215884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | がん幹細胞 / 放射線 |
研究実績の概要 |
治療抵抗性に寄与するがん幹細胞のマーカーとしては、細胞表面タンパク質CD44vや、アルデヒド脱水素酵素の1つ、ALDH1A3など、複数の分子が報告されてきた。われわれは、昨年度までに、CD44vががん幹細胞のマーカーとなりうることを確認するとともに、複数のマーカーに関する比較解析から、ALDH1A3が治療後に残存する抵抗性細胞のより良いマーカーとなることを見出した。また、がん幹細胞への放射線照射の影響を調べるために、胃がん患者由来細胞株JSC153をALDH1A3高発現細胞と低発現細胞に分け、それぞれに対し放射線を照射し、PD-L1 (Programmed cell Death 1- Ligand 1)や免疫応答・炎症関連の遺伝子の発現変化を比較した結果を昨年度報告した。すなわち、JSC153細胞においては、全体的にPD-L1発現が低く、ALDH1A3高発現細胞、低発現細胞いずれにおいても放射線照射によってPD-L1の発現は誘導されなかった。 2021年度は、さらに、われわれが独自に樹立した複数の患者由来胃がん細胞株(JSC172, JSC177, JSC181)で放射線照射後のPD-L1誘導の比較検討を行なった。その結果、放射線照射によるPD-L1の誘導には個体差が大きいことが分かった。低分化腺癌に由来するJSC177細胞では、照射前のPD-L1発現細胞の比率は4.8%であったが、8Gyの照射によって75%にまでPD-L1発現が誘導された。一方、中分化腺癌より樹立されたJSC181細胞は、照射前のPD-L1発現率が17%であり、8Gyの照射によってもPD-L1発現率は28%までにしか上昇しなかった。放射線照射によるPD-L1発現と組織型、予後等の関連について、今後より包括的に検討して行く予定である。
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