研究課題/領域番号 |
19K09137
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (30647540)
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研究分担者 |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
畑 啓介 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (60526755) [辞退]
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80571942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリアDNA / 潰瘍性大腸炎関連大腸癌 |
研究実績の概要 |
2022年までは潰瘍性大腸炎手術症例45例に対してNGSを行い、癌合併症例ならびに癌非合併症例との比較で、 (1)Mutation burden腫瘍の有無の解析において、腫瘍を伴う症例の背景粘膜(以下T)の方が腫瘍を伴いわない背景 粘膜 (以下N)よりも遺伝子変異数が多かったものの、設定した有意差には達することはなかった(T=47.5 N=43.7p=0.103)。(2)個々の遺伝子についての解析では、MT-7,MT-ND3、MT-HV-2内の合計5箇所の locusにおいて、T症例とN症例の遺伝子変異率の差を認めた。 (p=0.0313 p=0.0205, p=0.022, p=0.00748, p=0.00608)。などの結果が得られていた。ただしmutation burdenは傾向こそ認めるものの有意差が得らなかったこと、また、特定の変異の部位においても症例を増やして一貫性のある結果を得るのが課題であった。 2023年度は2021年6月から2023年1月までの手術症例を追加し、合計55標本での追加解析を行い以下の結果が得られた。 (1)Mutation burdenは癌合併症例が有意に高かった(T=48.7±6.4 N=42.6±13.1, p=0.0236)。これまで癌合併症例は遺伝子変異が多い傾向のみ示されていたが症例を増やすことで有意差をもって証明された。 (2)55症例で6箇所の部位で癌合併・悲合併症例での変異の差を認めた。うち3箇所がエクソン領域であり、NADH dehydrogenase subunit 5, NADH dehydrogenase subunit 3, ATP synthase F0 subunit 6 であった。ND3領域はこれまでの解析でも変異を認めており、マーカーの候補となりうると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例集積数の遅れならびに2020年から2022年にかけてコロナウイルス感染症蔓延に伴う入構制限などによる
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今後の研究の推進方策 |
潰瘍性大腸炎の発癌は、炎症のコントロールや病悩期間、罹患範囲など種々の臨床的な因子との関連も示唆されている。今回まで得られた55例のデータを、臨床病理学的な因子とも合わせて、一定の傾向ならびに発癌の予測モデルを構築でき得るかを検討する。 また、一部のcase seriesとして抽出した症例について、メチル化の有無も追加解析として行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例集積の遅れにより、解析費用の消費が遅れたこと。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い学会参加の現地参加を控えていたことによる。残りの使用額で、集積症例のメチル化などについて追加解析する予定である。
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