研究課題/領域番号 |
19K09142
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
相場 利貞 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60789569)
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研究分担者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
江畑 智希 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60362258)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60378023)
山口 淳平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00566987)
上原 圭介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (50467320)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 血中循環腫瘍細胞 / 生着関連遺伝子 / 非対称分裂 / 自己組織化 |
研究実績の概要 |
癌治療の開発を困難にしている原因の1つに癌の多様性がある。そのメカニズムとして特定の細胞に分化する細胞が作り出される非対称分裂と自己組織化が関与していると考えられる。本研究の目的は単一細胞解析によるCTC (circulating tumor cells)の生着メカニズムの解明、生着した癌細胞の非対称分裂と自己組織化のメカニズムの解明により、これまでと異なるコンセプトの新規癌転移抑制法を開発することである。 ヒト胆管癌由来細胞株HuCCT1、ヒト膵癌由来細胞株KLM1をラット血中へ投与を行い、0、5、10、15、30分後に経時的な血液採取を行った。それぞれ採取した血液よりMACSシステムを用いて、擬似的なCTC (circulating tumor cells)として血中癌細胞を単離した。30分後に最も多くの癌細胞の回収が可能であったが、十分な細胞数を得ることができなかった。単離した癌細胞の培養を行ったが、十分な量の接着細胞を得ることができなかった。また継代培養もできなかった。ディッシュのコーティングの変更によっても、接着率は改善しなかったが、単離した癌細胞とヒト繊維芽細胞の共培養により、接着率の改善を認めた。 ヒト膵癌由来細胞株KLM1のマウス腹腔内への投与を行った。そののち腹腔内洗浄を行い、洗浄液を回収し、洗浄液よりMACSシステムを用いて癌細胞を単離した。十分な細胞数を得ることができ、単離した癌細胞の培養を行った。十分な接着細胞を得ることができたが、癌細胞以外のマウス由来細胞の混入を認めた。そのため接着した癌細胞をCAM5.2、サイトケラチンを用いて選択的な単離回収を行った。混入したマウス由来細胞の減少ができ、癌細胞の選択的に単離回収が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血液中、腹腔内から回収した癌細胞の単離回収が可能になった。接着した癌細胞の選択的な回収も可能になった。しかし、CTC (circulating tumor cells)の同定ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
CTC生着関連遺伝子の発現と機能解析 選択的に単離回収したmRNAの抽出し、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析を行い、CTCの生着関連遺伝子を同定する。ヒト胆管癌由来細胞株、ヒト膵癌由来細胞株、ヒト大腸癌由来細胞株での同定したCTC生着関連遺伝子の発現をタンパクレベルについてはウェスタンブロッティング法、RNAレベルについてはリアルタイムPCR法などで検討する。CTC生着関連遺伝子を標的としたsiRNAを数種類作成し、ヒト癌由来細胞株へ導入し、CTC生着関連遺伝子の抑制効果をウェスタンブロッティング法、リアルタイムPCR法にて検討する。ヒト由来癌細胞株へのCTC生着関連遺伝子を標的としたsiRNAの導入後、コラーゲンコートディッシュへの播種により接着能を検討し、接着阻害能を有するCTC生着関連遺伝子を標的としたsiRNAを選定する。抗腫瘍効果として増殖能についてはBrdUアッセイ、細胞死誘導能についてはトリパンブルー色素排出試験、TUNEL法、運動能についてはスクラッチアッセイ、浸潤能についてはインベーションアッセイ、足場非依存性増殖についてはコロニーフォーメーションアッセイを検討する。抗腫瘍効果とCTC生着関連遺伝子の関連性を明らかにする。 担癌動物モデルを用いたCTC生着関連遺伝子に対する標的治療の有効性の検討 接着阻害能を有するCTC生着関連遺伝子を標的としたsiRNAを導入したヒト癌由来細胞株を用いて、皮下発癌モデルを作製する。皮下発癌モデルにおける腫瘍形成への影響を腫瘍の有無、腫瘍形成までの時間、経時的な腫瘍体積の変化の観察より検討する。切除標本でのCTC生着関連遺伝子の発現をウェスタンブロッティング法、リアルタイムPCR法などで分子生物学的に検討する。切除標本を用いた病理学的な検討およびTUNEL法によりアポトーシスの検討をする。
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