研究課題/領域番号 |
19K09149
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内山 秀昭 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70380425)
|
研究分担者 |
副島 雄二 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30325526)
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
原田 昇 九州大学, 大学病院, 講師 (80419580)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 講師 (80432938)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 助教 (90382423)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 生物学的年齢 / メチル化DNA / 肝切除 |
研究実績の概要 |
近年、暦年齢とは別の、細胞や組織の老化を表す生物学的年齢(epigenetic aging clock)が注目されている。この生物学的年齢はDNA上のCpGサイトのメチル化レベルを解析することにより測定される。様々な疾患で、この生物学的年齢が加速することが報告されている。肝臓外科手術の安全性を高めるために、大量肝切除症例でのCpGサイトのメチル化レベルを解析し、肝切除前後での生物学的年齢の変化を解析することを試みた。その解析前にpreliminary studyとして主要肝胆膵外科手術における骨格筋量の変化を解析した。骨格筋量は加齢とともに減少し、また悪性疾患、消耗性疾患においても急速に減少することが知られている。すなわち骨格筋量は生物学的年齢を大まかに表す指標と考えられる。骨格筋量の指標としてCT画像で第3腰椎レベルでの大腰筋の面積を用いた。手術前、手術1週間後、手術半年後、手術1年後の第3腰椎レベルの大腰筋面積の変化を解析した。大量肝切除後、膵頭十二指腸切除術後では術後に骨格筋量が著明に減少することが判明した。さらに若年者では半年後には速やかに回復するが、80歳以上の高齢者では回復できないことも明らかとなった。骨格筋量が減少すると、体の抵抗力がなくなり、様々な疾患に罹患しやすくなることが知られている。80歳以上の高齢者と若年者の手術成績は大きな違いがないことが学会、論文で多く発表されているが、今回の結果は80歳以上の高齢者に対する過大侵襲を伴う手術を考慮する際の警鐘となると考えられる。今後さらに症例数を増やし、今回の結果を学会、論文発表できるようにまとめていく予定である。その後、本来の研究の目的であるDNAのメチル化レベル測定による生物学的年齢の変化の解析を試みようと思う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAのメチル化レベルの測定は海外の受託サービスを利用する予定であった。昨今の社会情勢から、現時点ではサービス利用が困難となった。DNAのメチル化レベルを測定することの代用として骨格筋量の測定をまず行うこととした。
|
今後の研究の推進方策 |
主要肝胆膵手術における骨格筋量の推移の症例数を増やしていく。またDNAメチル化レベル測定の受託サービスの代替策として、3か所のCpGサイトのメチル化レベルをPCRで測定すること(この結果を公式に入力することで大まかな生物学的年齢が推定できることが報告されている)も試みる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外受託サービスの利用が当該年度ではできなかった為。当初予定していたこのサービスの利用を次年度行う予定。
|