研究課題
本研究者らは近年、大腸癌・大腸腺腫の網羅的遺伝子発現解析およびタンパク解析などから、ミスマッチ修復欠損(dMMR)/マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)大腸癌(dMMR/MSI-H大腸癌)の発癌過程において、特定の糖転移酵素遺伝子がメチル化により抑制性に制御されること、それらが患者の不良な予後に関連するという新規知見を得た。またその結果、短縮型の癌関連糖鎖の高発現が誘導されることを各種in vitro解析により確認している。本研究課題は、大規模症例を用いたゲノム医学・マルチオミクスと糖鎖生物学・分子生物学的手法の統合的解析により、癌細胞上の短縮型糖鎖抗原誘導のメカニズムと、免疫抑制的微小環境に与える影響を検討し、バイオマーカーおよび治療標的としての可能性に迫るものである。大腸癌における癌関連短縮型糖鎖抗原および関連する糖転移酵素を研究の軸とし、ゲノム・エピゲノム異常を介した短縮型糖鎖抗原誘導機構の解明、さらにそれを背景とした免疫学的微小環境(免疫細胞浸潤、免疫逃避)への影響などを、大腸癌組織の免疫組織学的染色を入り口として各種検討を行っている。特にO型糖鎖構造のコアとなり機能的意義、臨床的意義が期待されている癌関連糖鎖Tn抗原に着目し検討を進めている。
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