研究課題
本研究は肥満が肝発癌に及ぼす影響について腸内細菌叢(フローラ)のバランスの変化(破綻)がかかわっていることを解明し、それに基づいた発癌予防策の確立を目的として行っている。肥満患者に対する肥満治療で腸内フローラの破綻が軽減し、癌再発が抑制されるかに関して臨床試験を行っている。同意を得られた肥満患者に対し食事療法(25kcal/kg標準体重/日,治療前体重の3%以上の減量目標)による肥満治療を行い(肥満群)、また非肥満患者には30kcal/kg標準体重/日の標準的な食生活を指導する(非肥満群)臨床試験を行った。肥満症例では、登録症例全例で肥満治療により全例治療前体重の3%以上の体重減少を達成し、1年経過時点でリバウンド症例はなかった。手術前の腸内フローラは肥満群(9例)では非肥満群(6例)と比較し、Firmicutes門が増加し、Bacteroidetes門が減少していた。術後1年後の腸内フローラ組成を検討したところ、肥満群ではFirmicutes門が減少していた。肥満群は再発症例はなく(1年、2年無再発生存率100%)、Histologicalに介入以前の症例(肥満対照群、1年76.2%、2年51%)と比較して無再発生存率は改善していた(P=0.068)。そして非肥満群の無再発生存率は1年100%、2年80%と肥満群と差は認められなかった。今後肥満治療前後の糞便を用いた実験を予定している。
4: 遅れている
COVID19 パンデミック中、重症コロナ治療に携わる状況で研究が十分にできる体制ではなかった。また無菌マウスの実験をする環境が整わなかったことも研究を進めれなかった要因であった。
臨床試験は終了し、5週令無菌マウスを、肥満治療「前」ヒト糞便移植群、肥満治療「後」ヒト糞便移植群および糞便非投与(対照群)に分け、8週後に生着を確認後、Diethyl-nitrosamine+Phenobarbital投与による肝発癌を誘導し3か月後にSacrificeする研究を開始する予定で在る。肥満治療「後」糞便移植群で、肥満治療「前」糞便移植群に比べ肝発癌が抑制されており、血清DOAが増加しているならば、肥満治療が肝発癌抑制に寄与することが証明できると考えている。
無菌マウスを用いた研究を実践できる状況になかったため次年度使用額が生じました。本年度は実験に対し使用予定で在る。
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