研究課題/領域番号 |
19K09156
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 講師 (40203187)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リンパ管 / 肝臓 / 虚血再灌流 |
研究実績の概要 |
リンパ管は間質液調節による体液循環の維持や免疫細胞の循環による免疫応答の分担など生理的に重要な役割を担っている。炎症時には構造や機能を変化させ、リンパ管を増殖新生させて、炎症収束や組織修復に関与する。リンパ管の制御調節因子や病態時のリンパ管可塑性の研究が開始されたのは最近であり、リンパ管可塑性を制御する分子基盤を解明し、組織修復につなげる治療応用を探索する必要性は大きい。肝虚血再潅流障害後の肝修復過程が障害されると患者は肝不全に至り、その予後は不良となる。しかしながら肝修復制機構は不明な点が多い。 昨年度に引き続いて本研究では、肝虚血再潅流障害後の肝修復過程におけるリンパ管新生の役割解明をおこない、またリンパ管新生の制御機構を調べた。リンパ管新生因子VEGF-CおよびVEGF-Dは集積したマクロファージから産生された。そこで、リンパ管新生因子(VEGF-CとVERGF-D)を投与したところ、肝修復はVEGF-CおよびVEGF-Dで促進効果はあったが、VEGF-Dの効果のほうが強力であった。またリンパ管新生も増強された。このとき、マクロファージの表現形式を解析すると、炎症性マクロファージよりも修復性マクロファージが増加していた。従って、肝修復におけるリンパ管新生を増強させるのは修復性マクロファージが関与していることが考えられた。興味深いことに新生したリンパ管だけでなく、これら集積マクロファージにVEGFR3が発現することを見いだした。研究を進めているうえで、肝リンパ管の特定に当たり、特異的なマーカーがないことがその解析を困難なものにしている。この問題点の解決のために、活用されているリンパ管内皮マーカーをいくつか組み合わせることで、肝リンパ管を同定できないか検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が、当初に立案した実験計画に沿って、ほぼ順調に遂行されている。肝虚血再灌流障害モデルにおいて肝修復過程に肝リンパ管新生が関連していることを示すことができたからである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究によって確立した肝リンパ管新生モデルを用いて当初の実験計画に沿って、本研究を進めていきたい。とくに肝リンパ管新生の制御機構を解明する。このときにマクロファージが組織修復に重要な役割を果たすので、マクロファージの関与について検討する。さらに形成された新生リンパ管の機能を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった消耗品の納入が海外からの輸入のために間に合わなかったり、また製造中止となった消耗品もあったこと。学会出張用の旅費として算定した使用額は、今般のCovid19による感染症のために学会がオンライン開催となったので、使用できなかった。さらに最終月分の動物飼育費が次年度に請求されるためなどにつき次年度に繰り越した。
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