研究課題/領域番号 |
19K09157
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三原 規奨 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80464957)
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研究分担者 |
淵本 大一郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長補佐 (10343998)
鈴木 俊一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (90391581)
松田 祐子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (90534537) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超音波力学療法 / 免疫不全ブタ / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
本研究は、癌特異的ドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用した、超音波力学療法の深部治療に対する効果を、背景肝に障害のあるモデル、且つヒトに近い大動物であるブタ肝細胞癌モデルを用いて検証することを目的としている。 該当年度では、3頭の免疫不全ブタ(RAG2-KO)を用い、ベルテポルフィン内包PMBポリマーナノ粒子を経静脈的に投与し、超音波照射を行った。まず、4.5週齢のブタの腹部に小切開をおき、ヌードマウスの皮下で固形化したA431(類上皮癌細胞株)を2㎜角の組織片にし、移植を施行したもの1か所、マトリジェルを用い、A431を1x10^7/ml個の濃度に調整し、100μl接種したものを1か所の、計2か所の処置をそれぞれ行った。接種2週目にアロカのエコーイメージングで腫瘍を確認した。接種3週目に、1頭をベルテポルフィンの取り込み、1頭を超音波のみの照射の検討、1頭をベルテポルフィン+超音波治療の検討に使用した。ベルテポルフィンの調整は、5%PMBポリマーに塩化メチレンに溶解したベルテポルフィンを滴下、30分ソニケーションをかけ、1時間以上エバポレーションすることで行った。ベルテポルフィンの投与量は6㎎/kgとし、経静脈投与を行った。超音波は、伊藤超短波のUS-710(1MHz)を用い、duty100% intensity2.0にて30分照射した。照射箇所は、事前にエコーイメージングを行い、腫瘍ができていると思われる部分を中心に、直径10㎝程度の範囲とした。現在も血液サンプルの解析、腫瘍部の病理解析を行っている。治療を施したブタでのCT撮像には至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で実験できない時期があった。免疫不全ブタの供給が少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の検討を行う予定である。 ・直後および一週間後の採血:正常肝組織への影響(AST、ALT、LDH、ALP、CK、PT、NH3)、治療効果(AFP、PIVKA-II)。 ・治療直後の病理学的検討:腫瘍への治療効果。 ・一週間後の病理学的検討:腫瘍への治療効果。血管、胆管壁への影響。直後の組織と比較することにより、焼灼による組織への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブタの供給量が少なかったことと、コロナ禍で活動がやや制限されていたことにより遅れが生じた。次年度も引き続き、実験補助員を雇用しながら研究を完結させる。次年度使用額は主に、実験補助員の人件費と検体の解析費用、動物実験に充てる予定である。
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