研究課題/領域番号 |
19K09165
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
羽入 隆晃 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50719705)
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研究分担者 |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00512310)
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 研究准教授 (30743918)
市川 寛 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50721875)
石川 卓 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (70586940)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
加納 陽介 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (90745580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 胃癌 / マイクロサテライト不安定性 / ミスマッチ修復タンパク質 / 免疫組織化学染色 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「胃癌における癌遺伝子解析パネルを用いたMSI 解析の精度、およびその臨床的意義を明らかにすることで、MSI を基軸とした胃癌薬物治療発展への足がかりとすること」である。本年度は、癌遺伝子パネルによるMSI解析結果と、ミスマッチ修復遺伝子発現の相関とMSI解析の精度を明らかにすることを目的に実験を行った。 癌遺伝子パネルによる遺伝子解析を施行した胃癌切除検体27例(MSI-high: 13例、MSI-low/MSS: 14例)を対象とした。原発巣におけるミスマッチ修復(MMR)タンパク質(MLH1, PMS2, MSH2, MSH6)発現を免疫組織化学(IHC)で評価した。MSI-highの13例中、10例でMLH1及びPMS2のlossを、2例でPMS2のlossを認め、1例でMMRタンパク質発現が全て保たれていた。MSI-low/MSSの14例では、全例でMMRタンパク質発現が保たれていた。MSI-high胃癌抽出において、MLH1及びPMS2のIHCによるMMR遺伝子異常評価の感度は92%、特異度は100%であった。 また、MSI-highの13例を対象として、臨床検査であるマイクロサテライト不安定性(MSI)検査(BAT25、BAT26、NR21、NR24、MONO27 の5マーカー)を施行した。13例全てで5マーカーにMSI陽性を認め、MSI-highと判定された。 癌遺伝子パネルで同定されたMSI-high胃癌では、従来の報告通りMLH1またはPMS2発現の欠失が多く認められる。癌遺伝子パネルによるMSI評価の精度は高く、胃癌におけるPembrolizumab療法適応症例の選択に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題研究Aとして計画した癌遺伝子解析パネルによるMSI 解析とMSI 検査及びMMR 遺伝子異常の整合性を明らかにすることができた。以上により研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、MSI-high胃癌の抽出にはMLH1及びPMS2のIHCによるMMR遺伝子異常の評価が有用であることが分かった(感度92%、特異度100%)。今後は術前・術後補助化学療法を施行した多数検体を対象に、IHCによりMMR遺伝子異常を評価し、治療効果や予後との関連を明らかにする。また、nivolumabによる免疫療法を施行された胃癌症例(約60例)を対象に、MMR遺伝子異常を評価し、治療効果や予後との関連を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の抗体や実験消耗品等を用いたことで、新規購入物品が削減され次年度使用額が生じた。翌年度分の助成金と合わせて、今後の実験費用(MSI検査、免疫染色費用)や、学術集会への参加費、学術論文の投稿費用、研究補助の人件費等に充当する。
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