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2019 年度 実施状況報告書

癌関連線維芽細胞によるWntシグナル経路を介した大腸癌転移促進機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K09188
研究機関東北大学

研究代表者

武者 宏昭  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30724322)

研究分担者 唐澤 秀明  東北大学, 大学病院, 助教 (30547401)
山村 明寛  東北大学, 大学病院, 助教 (30814678)
内藤 剛  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50291258)
大沼 忍  東北大学, 大学病院, 助教 (70451565)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード大腸癌 / 癌関連線維芽細胞 / Wntシグナル
研究実績の概要

本研究ではCAFの初代培養細胞と大腸癌手術検体のホルマリン固定標本を用いて、大腸癌におけるCAFの機能を明らかにすることを目的とした。まず大腸癌患者の手術検体からCAFおよび正常線維芽細胞を初代培養した。これらの細胞を用いてRNAシークエンスを行い、得られた遺伝子発現プロファイルをGene Sets Enrichment Analysisで解析したところ、CAFで高発現している遺伝子がWntシグナル経路に関連する遺伝子群に多く含まれていた。さらにはWntシグナル経路を構成している遺伝子の中でも特にWNT2がCAFで高発現しており、CAFでのWnt2発現が癌組織において重要な働きを担っていることが示唆された。続いて、癌細胞とCAFの相互作用におけるWnt2の機能を解析するため、免疫組織化学による臨床病理学的検討とin vitroでの検討を行った。免疫組織化学による検討では、Wnt2は癌組織の間質で高い発現を認めた。さらにCAFにおいてWnt2が高発現していた群では低発現群と比較し、腫瘍の深達度が深く(P < 0.001)、リンパ節転移を認めた症例を多く認め(P = 0.044)、TNM Stage III以上の症例が多かった(P = 0.010)。また、Wnt2高発現群では静脈侵襲(P < 0.001)、肝転移(P = 0.045)および再発(P = 0.013)を認めた症例が多く含まれていた。次に、WNT2特異的siRNAにより発現抑制したCAFを用いてin vitroの解析を行った。siRNAを導入したCAFの培養上清を条件培地(conditioned medium:CM)として用いて大腸癌細胞株の培養を行ったところ、Wnt2を発現抑制したCAFから得たCMでは癌細胞の浸潤能、遊走能が有意に低下した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Wnt2に関しては前述の如く、英文誌に研究結果を発表した。引き続き他のWntシグナルに注目し、研究を遂行する。

今後の研究の推進方策

5症例から得られたCAFとNFの遺伝子発現プロファイルを解析したところ、Wntシグナル経路に関連する遺伝子群がCAFで高発現しており、特にnon canonical Wntシグナル経路に関連する遺伝子がCAFとNFで有意に異なる結果を得た。さらにnon canonical Wntシグナル経路のなかでWNT5AがCAFで高発現しており、CAFのWnt5a発現が癌組織において重要な働きを担っていることが示唆された。そのため、Wnt5aを介したCAFと癌細胞の相互作用を解析するため、in vitroでの機能解析および免疫組織化学による臨床病理学的検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Cancer-associated fibroblasts secrete Wnt2 to promote cancer progression in colorectal cancer2019

    • 著者名/発表者名
      Aizawa T, Karasawa H, Funayama R, Shirota M, Suzuki T, Maeda S, Suzuki H, Yamamura A, Naitoh T, Nakayama K, Unno M.
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 8 ページ: 6370-6382

    • DOI

      10.1002/cam4.2523

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-01-27  

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