研究課題/領域番号 |
19K09191
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金子 順一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50328118)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 光線力学療法 / インドシアニングリーン / 転移性肝癌 / 肝細胞癌 |
研究実績の概要 |
光線力学的療法は、腫瘍親和性のある光感受性物質を投与した後、腫瘍組織にレーザ光を照射することにより光化学反応を引き起こし、reactive oxygen speciesにより腫瘍細胞を障害する治療法である。この抗腫瘍効果は、レーザ光と光感受性物質との光化学反応によって生成される一重項酸素(活性酸素の一種)の強い酸化作用により実現される。PDTは、レーザ光照射部位だけに高い抗腫瘍効果を示す局所療法であるため、外科療法に比べ侵襲が少なく機能温存が可能である。
本研究では、大腸癌細胞株肝転移モデルマウスにてインドシアニングリーン(ICG)光線力学的治療効果があるか検討する。転移性肝がんに対する光線力学療法モデルでは、正常背景肝の転移性肝がんの周囲にICGが特異的に取り込まれることがすでに理解されて、既に同実験モデルが完成している。このモデルに対して、光感受性物質でもあるICGの特性肝転移モデルマウスを作製し、光線力学療法による転移性肝がんに対する治療効果の研究を進める。
現在までに実験で得られた知見は、大腸癌を肝内に転移させた肝転移モデルが安定的な作成が成功しており、ICG静注後に肝転移巣周囲の正常肝細胞にはICGが集積することが確認された。この肝転移モデルは、大腸癌腫瘍細胞移植後約10日前後でICG静注し、光線力学療法として、静注後24時間で近世外光レーザ(NIR)照射し3から4日後に確認する。NIRを照射する位置は右肋間辺りから肝右葉に見られる発光を狙う。今までの実験では、ICGを照射した場合、周囲の肝細胞はアポトーシスを起こしている可能性が見いだされた。しかし、現時点では癌細胞自体にアポトーシスを起こしている所見が得られていない。出力と照射時間の最適解を探索中である。これはNIR装置に制限されることもあり、別の装置でも検討を重ねる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初COVID-19のため、何度もすべての動物実験系が停止されたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、大腸癌肝転移細胞株に対する、ICG光線力療法モデルが完成しつつあり、出力と照射時間の最適解を決定しているところである。案としては4時間、72時間後のICG照射群と非照射群を比較しICGが発光している面積を比較する。ICG照射群と未照射群の生存期間を比較する。出力強度を変えてそれぞれの腫瘍のアポトーシスの程度を比較するのを今年中に予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19のため遅れていた研究がスケジュール通りなってきた。このまま進める。
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