研究課題/領域番号 |
19K09199
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤山 浩 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (40594875)
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研究分担者 |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
清住 雄希 熊本大学, 病院, 非常勤診療医師 (30827324)
岩槻 政晃 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50452777)
宮本 裕士 熊本大学, 病院, 講師 (80551259)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GLUT1 / BAY-876 / Glycolysis / 食道扁平上皮癌 / GIST / 細胞周期 / 抗癌剤感受性 |
研究実績の概要 |
三種類の細胞株(TE-8, TE-10, TE-11)のGLUT1をSi RNAを用いて発現を抑制すると、いずれも増殖抑制効果が確認された。GLUT1発現抑制後、CDDP (0.2μM, 0.4μM) 投与では増殖抑制効果を認めなかった (101%, 99.7%) が、GLUT1発現抑制後では同濃度で (80.3%, 73.2%) の増殖抑制効果を認め、CDDPの感受性が向上した。 GLUT1の発現を抑制した際に、GLUT2-4の発現の変化を確認したが、GLUT1低下に伴うGLUT2-4の代償性の変化は認めなかった。 On line data baseでの検討にて17種類の食道がん細胞株をGLUT1の発現が高い細胞株を低い細胞株の2群に分けて、CDDPのIC50を比較したところ、GLUT1高値群(n=7)では、平均±標準誤差 28.3±8.2μMであったのに対して、GLUT1低値群(n=10)では、18.3±11.6μMであり、GLUT1低値群で感受性が良い傾向にあった。 臨床データにおいても、GLUT1タンパク発現が高値の症例はSUV maxの減少率が61.2±4.2に対して、GLUT1タンパク発現が低い症例では、SUV maxの減少率は46.2±4.4であり、SUV max減少率に有意差を認めた。In vitro、In silico、および臨床検体において、GLUT1の発現と抗癌剤感受性の関係が示された。 胃GISTにおけるGLUT1の発現を検討した。胃GISTにおいても、GLUT1の発現高値症例は、FDG-PETのSUV maxが有意に高値であり、再発予後不良であった。GISTの細胞株である、GIST-T1を用いて検討を行ったところ、食道扁平上皮癌と同様に、GLUT1の発現をsiRNAを用いて抑制することで、増殖抑制効果が確認された。しかしながら、GLUT1抑制において、糖代謝関連酵素の変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GLUT1の発現と抗癌剤(CDDP)を用いた化学療法感受性に関して確かなデータを得ることが重要でああると考えます。細胞株、On line data base、および臨床検体において、同様の結果となっており、GLUT1の発現とCDDP感受性の関係に関して、論文を作成し投稿致しました。リバイスの実験として、GLUT1の発現を抑制した場合の、食道扁平上皮癌において発現が高いGLUT2-4の発現が代償性に変化するかを確認致しました。同結果に加え追加実験を行うことで、まず、Cancer scienceにAcceptとなりました。また、胃GISTに関して、細胞実験およびBAY-876に関する細胞株を用いた実験を行っており、研究計画はおおむね順調に進展していると考えます。
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今後の研究の推進方策 |
食道扁平上皮癌において、GLUT1の発現がIn vitro, In silicoおよび臨床検体において抗癌剤CDDPの発現と関係することが示された。0.1nMで抗腫瘍効果を示す、BAY-876を用いた研究を進めている。GLUT1阻害剤を食道癌細胞株 (TE8, TE11)、GIST-T1に対して投与し、siRNAを用いてGLUT1を抑制した結果と同様に糖代謝関連酵素 (HK2, PKM2, LDHA)、細胞周期調整遺伝子 (CDK6, p21, p27) の発現の変化を評価する。細胞周期の変化をFACS解析にて、アポトーシスをCaspase3 assay、PARPのWestern blotにより解析する。 GISTに対して、胃GISTの免疫染色の症例数を増やし、臨床病理学的的関係を示すとともに再発予後に関してもさらに検討を進める。GIST細胞株である、GIST-T1に対するsiRNAを用いたタンパク発現を抑制することによる増殖抑制することによる細胞周期の変化を測定する。BAY-876を投与することによる増殖抑制効果を確認する。細胞増殖抑制が得られた場合は、代謝関連酵素の変化を測定するとともに、細胞周期関連遺伝子の発現の変化を測定する。 GISTは細胞株樹立が困難であり、既存の細胞株も限られているため、PDXsの作成を継続的に行い薬剤の作用機序、効果の検討が行えるように準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)医局内保管の試薬、消耗品を使用することができたため。 (使用計画)試薬、消耗品の購入費に充てたいと考える。また、最新の研究情報を得るため、及び、研究成果発表のための学会出張旅費にも充てたいと考える。
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