研究課題
食道扁平上皮癌において、GLUT1阻害剤を食道癌細胞株 (TE8, TE11)に対して投与し、抗癌剤CDDPと併用投与を行った。TE-8、TE-11に対して、siRNAを用いてGLUT1の発現を抑制したところ、いずれもCDDPの作用が増強した。CDDPを投与し48時間後のTE-11に対して2種類のsiRNAを用いてGLUT1の発現を抑制し、CDDPを0.2μg/ml、0.4μg/ml投与したところ、Controlでは腫瘍抑制効果を認めなかったが、0.2μg/ml、0.4μg/mlの低濃度で抗腫瘍効果を認めた。以上より、GLUT1の発現を抑制すると、CDDPの感受性が改善することを示した。さらに、GLUT1阻害剤(BAY-876)とCDDPの併用に関して検討した。TE-8において、0.5μmol/L CDDP単剤:0.025nmol/L BAY-876単剤:CDDP + BAY-876併用において、79.9% ± 2.3%:59.9% ± 4.9%:38.1% ± 3.1% (average ± SD)の抗腫瘍効果が得られた。TE-11において、46.0% ± 6.5%:51.0% ± 8.2%:15.4% ± 3.7%であり、CDDPとBAY-876の相加効果が確認された。GLUT1を抑制すると、CDK6の発現低下、p27kipの発現上昇を認めた。また、AKTのリン酸化状態は変わらなかったが、ERKの脱リン酸化を認めた。さらに、HK2の発現上昇を認めたものの、PKM2、LDHA、PDK1の発現が低下した。以上より、GLUT1発現抑制による抗腫瘍効果のメカニズムとして、MAPKを介した代謝経路の改変が示唆された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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