研究課題/領域番号 |
19K09200
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
有上 貴明 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (40527058)
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研究分担者 |
柳田 茂寛 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (20444903) [辞退]
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577) [辞退]
大久保 啓史 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40772223) [辞退]
松下 大輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (10724205)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント分子 / ニボルマブ / 免疫療法 / Salvage chemotherapy |
研究実績の概要 |
2017年10月から免疫チェックポイント分子阻害剤である抗PD-1抗体のニボルマブによる免疫療法が胃癌の3次療法以降において臨床導入された。そこでニボルマブ導入前後における2次あるいは3次療法への移行率や予後の変化について後ろ向きに比較検討を行った。対象は、2007年6月から2019年10月に当院において切除不能進行胃癌の診断で1次および2次化学療法を導入し、病勢増悪と判断された146例とした。ニボルマブ導入後に化学療法を受けたB群は、ニボルマブ導入前に化学療法を終了したA群と比較して有意にラムシルマブやニボルマブによる治療歴、あるいは2次療法や3次療法への移行率が高かった(P<0.0001)。さらにA群はB群と比較して有意に予後不良であり(P=0.0002)、多変量解析では年齢(70歳未満 vs. 70歳以上)や遠隔転移の個数(1個 vs. 2個以上)、ラムシルマブ治療歴の有無が独立した予後因子の一つであった(P<0.05)。これらの結果よりニボルマブ導入後の化学療法戦略の変化は、切除不能胃癌に対する予後を改善する可能性が示唆された。さらに治療戦略としての免疫療法後の化学療法 (Salvage chemotherapy)の有効性についても検討した。対象は、切除不能・再発胃癌の診断で3次療法以降においてニボルマブによる免疫療法を行った31例とした。ニボルマブによる奏効率は20%であり、病勢制御率は55%であった。Salvage chemotherapyは11例に行われ、奏効率および病勢制御率は、それぞれ37.5%と75.0%であった。Salvage chemotherapy開始後の無増悪生存期間および全生存期間の中央値は、それぞれ285日と360日であった。これらの結果より免疫チェックポイント分子阻害剤であるニボルマブは、化学療法の感受性を増加させる可能性が示唆された。
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