研究課題/領域番号 |
19K09205
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
羽井佐 実 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70322229)
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研究分担者 |
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20379845)
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40379730)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | オルガノイド / 食道癌 / 癌幹細胞 |
研究実績の概要 |
近年、iPS細胞などの多能性幹細胞や切除臓器に含まれる組織幹細胞を活用したオルガノイド研究が発展を見せている(Nature. 493, 318-26. 2013)。オルガノイドは、解剖学的、機能的に生体内の器官に近い特徴を示すことから、これまで困難であった生命現象の解析が可能になってきた。現在、癌の治療抵抗性の原因の一つに癌幹細胞の関与が考えられている。癌幹細胞は抗癌剤や放射線での根絶が難しく、さらにその高い造腫瘍性から再発の原因となるため、当該細胞への標的治療の開発が進められている。近年、食道癌の系統維持型癌遺伝子であるSOX2およびΔNp63は癌における幹細胞性の維持に必要であることが明らかになった。またオルガノイド培養法の進歩により、これらの研究に必要となる組織幹細胞や癌幹細胞の増殖と維持が可能となっている。 多くの扁平上皮癌においては染色体3q上のOncCassetteと呼ばれる領域に上記SOX2およびTP63の増幅が見られ癌の発生と進展に関与することが分かってきた (Cell 158, 929-44. 2014, Advances in Biological Regulation 60, 47e63 2016)。研究初年度終了までに、上記癌遺伝子SOX2およびΔNp63に対するCRISPR interference (CRISPRi)を開発し、食道癌細胞に導入することで標的遺伝子阻害効果、また増殖抑制効果が誘導できることを確認している。さらに患者癌由来オルガノイドにおいて、上記癌遺伝子発現をimmunoblot法で検出しており、現在CRISPRi導入後の抗腫瘍効果の解析を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRISPRi発現型アデノウイルスベクターの精製に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画2年目において、食道癌オルガノイドの樹立をさらに進め、幹細胞マーカーの発現を調べるとともにCRISPRi の抗腫瘍効果につき解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入試薬が安価に抑えられたため、次年度使用額が生じた。 樹立オルガノイド数を増やし、抗腫瘍効果の解析に使用する。
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