研究課題
クローン病の内科的治療は、近年飛躍的に進歩を遂げ減少傾向にある。さらに、術後に抗TNF-α抗体による維持療法が実施されるようになり、 再燃率も有意に低下し、長期的な寛解の維持が可能になりつつある。一方で、このような長期経過例の中には近年、癌化するものが増加してきており、これらの症例の予後は極めて不良である。しかしながら、クローン病の癌化を予測、あるいは早期発見する最適なプログラムは定められていないのが現状である。本研究は癌化の分子生物学的変化に着目し、その中でも特に、体内で安定した状態で存在するmicroRNA(miRNA)を用い、クローン病の癌化予測・早期発見マーカーの確立を目指したものである。2021年度に実行した研究計画を示す。クローン病に罹患し加療中でかつ小腸癌を合併し当科で手術加療した患者が5例おり、癌組織、非癌組織を予めサンプリングし凍結保存してあったため、同組織よりRNAを抽出し、癌非合併クローン病患者の炎症粘膜/非炎症粘膜より抽出したRNAとともに、外注で次世代シーケンスをおこなった(miRNAならびにmRNAにおける網羅的解析を施行)。生データを生物統計学者とともに再解析中であり、小腸癌合併クローン病患者に異常発現するmiRNA/mRNAのうち学術的に更なる研究を進める意義の高い分子を同定すべく現在も研究継続中である。
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Journal of Gastrointestinal Surgery
巻: 25 ページ: 2047~2054
10.1007/s11605-020-04842-w