研究課題/領域番号 |
19K09216
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
廣 純一郎 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (70444437)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00422824)
藤川 裕之 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40616091)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 寄附講座大学教員 (50192026)
荒木 俊光 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (70343217)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | tumor budding grade / microRNA / microRNAパネル / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究では大腸癌腫瘍組織でnext generation sequenceで網羅的解析をおこない、Tumor high Budding gradeの症例に特異的なmicroRNA(以下miRNA)をprofilingして作成したmiRNAパネルの有用性を検証する。 2019年度は、Tumor high/Low budding grade症例(各20例)の腫瘍部の凍結切片を共同研究先に送付し、同施設でRNA抽出後にsmall RNA sequence(NGS)を提出した。NGSで得られたデータをbioinformaticianに依頼して解析。High budding grade症例で異常発現しているmiRNAに関しては、adjusted P-value<0.5、Log FC<1の条件下では56個まで絞り込まれ、このうちpublic database(TCGA)で予後と有意に関連するものをunivariate CoxPH<0.05でフィルタリングすると25個までnarrow downされ、この25個をLasso regression analysisで絞り込み施行したところ、Let-7a-3p, Let-7f-1-3p,miR-200c-5p, -23a-5p, -26a-1-3p, -27a-5p, -29b-1-5p, -34a-5p, -148a-5p, -331, ならびにmiR-4286が候補miRNAとして同定された。 2020年度はtesting cohortとして245例の大腸癌組織から抽出したRNAを用いて、同定された11個の候補miRNAの発現をqRT-PCR法で定量すると、いずれもp<0.05の有意差でAUC:0.59-0.86の値をもって、high budding grade症例で特異的に低発現なmiRNAである事が判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に合計40症例(High/Low budding grade症例それぞれ20例)の腫瘍部凍結切片から抽出したRNAを用いてNGSを施行し、High budding grade症例に特異的に異常発現しているmiRNAを絞り込み、これらのうちTCGA databaseでも予後と有意に関連するmiRNAとして候補をnarrow downし最終的には候補miRNAを11個に選定できた。NGSを施行した症例数は十分で、bioinformaticianによる解析をおこなっておりその精度は信頼性の高いものと考える。今回2020年度にtesting cohortとして大腸癌組織から抽出したRNAを用いて、前述の11個の候補miRNAの発現をqRT-PCR法で定量した。testing cohortは245例と十分な症例数で、候補miRNAはいずれもp<0.05の有意差をもってAUC:0.59-0.86の値をもって、high budding grade症例で特異的に低発現である事が判明し当初の期待に矛盾しない結果であると考える。今後validation cohortを用いた更なる検証を進めるに十分値する結果であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
前述のごとく同定された、High tumor budding grade症例に特異的に異常発現する11個の候補miRNAに関して、今後もclinical sample validationを継続する方向である。2020年度におこなった実験では、testing cohortとして大腸癌組織から抽出したRNAを用いて、候補miRNAの発現をqRT-PCR法で定量したところ、testing cohortは245例と十分な症例数で、候補miRNAはいずれもp<0.05の有意差をもってAUC:0.59-0.86の値をもって、high budding grade症例で特異的に低発現である事が判明し当初の期待に矛盾しない結果であり、今後validation cohortを用いた更なる検証を進め論文作成を行うに十分値する結果であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究実績で同定した候補miRNAに関して、2021年度もvalidation cohortを用いて引き続きclinical sample validationを施行するため、腫瘍部の凍結切片からのRNA抽出ならびにreal-time qPCR実験のための物品費が必要となる。 また実験遂行の上での実験助手の人件費、研究結果を学会発表するための旅費、論文出版代など、各種必要な費用が生じる予定である。
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