研究課題/領域番号 |
19K09220
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江口 英利 九州大学, 大学病院, 特別教員 (90527756)
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研究分担者 |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肝内胆管癌 / 腫瘍免疫応答 / 数理学的統合解析 |
研究実績の概要 |
肝内胆管癌における腫瘍免疫応答寛容を誘導する代謝産物及び遺伝子群を明らかにするため、肝内胆管癌切除症例10例に対して、各切除組織の癌部より3-9ヶ所、非癌部より1ヶ所の合計74検体を採取し、それぞれの検体に対してWhole Exome Sequence(①遺伝子変異解析、②Spectrum解析、③コピー数解析)、RNA sequence(①遺伝子発現解析、②fusion geneの解析)、プロテオーム解析、代謝産物の測定によるメタボローム解析による数理学的統合解析を行った。その結果、440種類の免疫関連細胞関連分子の胆管癌症例における発現プロファイルを得た。今後は予後(再発)関連遺伝子プロファイルにより創薬をすすめていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝内胆管癌において腫瘍免疫応答寛容を誘導する遺伝子群及び代謝産物を明らかにすることである。これまでのところ、腫瘍免疫応答関連ゲノム変異については、特に有意差を認めなかったが、発現プロファイルについては、440種類の免疫関連細胞関連分子の胆管癌症例における発現プロファイルを得たこと。さらに予後に影響を与える遺伝子群についても同定しており結果をとりまとめた。現在論文をGastroenterologyに投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
肝内胆管癌における発現蛋白および代謝産物の解析を進め、免疫関連蛋白との関連を解析しており、これらによって発見された免疫関連代謝産物と免疫関連遺伝子群との関係性を解析することにより、ゲノム/RNA/代謝産物で共通するaxisを同定する。また同定されたaxisに対して、public data baseでの検証及び機能解析を行うことにより、肝内胆管癌における免疫応答寛容の機序を明らかにし、免疫応答寛容を抑制する治療法の開発を行う。特にCytokine-cytokine receptor interaction 9, Natural killer cell mediated cytotoxicity、Chemokine signaling pathwayが予後(再発)に影響を与える発現遺伝子径路として明らかにされたが、これらの遺伝子発現をもとに創薬を進めたい。われわれの研究協力者九州工業大学山西芳裕教授は1000種類にもおよぶリポジショニング薬の癌株化細胞への投薬に伴う発現プロファイルデータを有する。われわれの肝内胆管癌原発巣マルチサンプリングによるトランスクリプトームプロファイルの結果との照合により、有望な薬剤を5種類発見した。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の実験消耗品にて使用予定
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