研究課題/領域番号 |
19K09222
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
丸橋 繁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20362725)
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研究分担者 |
武藤 亮 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (10791478)
鈴志野 聖子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20816376)
石亀 輝英 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50583358)
清水 裕史 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70553709)
佐藤 直哉 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90622332)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 複合型肝細胞シート / 肝組織 / 肝細胞スフェロイド / 肝細胞分離 |
研究実績の概要 |
本研究では、細胞間接着を有した肝細胞スフェロイド;Liver tissue-originate spheroids (LTOSs)を用いた複合型肝細胞シート(LTOSsシート)の開発を行なっている。 2020年度は、癌組織由来スフェロイド;Cancer tissue-originated spheroids (CTOSs)の作製方法を応用して作製したLTOSsの3D培養を実施した。これまでの方法では、gentle MACS法を用いて肝細胞を分離し、40μm、100μmのフィルターを用いてLTOSの分離を試みた。ある程度のviabilityをもつ細胞集合体を得ることができ、組織免疫染色では、肝細胞、胆管細胞を含有したLTOSの抽出に成功した。しかしながら、高いviabilityのLTOSsを安定して培養することができず、この原因としてCTOSsとは異なるLTOSs特有の組織不安定性が考えられた。より肝組織に刺激の少ない方法で、よりViabilityの高いLTOSsを作製すべく、我々の講座で行っている肝細胞分離の手法を応用して、全く新しいLTOSsの作製方法を発明した。プロテアーゼの種類や濃度、条件などを変更し、CTOSsと同様の方法で作製したLTOSsよりもViabilityの高いLTOSsを作製することに成功した。一方で、新規開発法であるため、肝組織の分離や回収の手技が最適化を試みている。 現在は、上記新手法を最適化するための実験を行っている。より肝組織に刺激の少ない具体的な分離方法、回収方法を考案しており、これらの実験をin vitroで進めているところである。条件を最適化した後には、3D培養を行うとともに、LTOSの性質について詳細な研究を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞分離の工程で細胞障害を受けやすい肝組織を、より高いViabilityを安定して維持するために全く新しいLTOSsの作製方法を考案する必要があった。その方法を発明することには成功したが、新手法の最適化には検討する項目が多く、従来法を参考にできない分、実験に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
LTOSs作製の新手法を最適化し、より高いViabilityを安定して維持できる肝組織を得る。これが達成された後、LTOSsの3D培養に移行し、安定した培養条件を確立する。また、LTOSsに含まれる複数の細胞を免疫染色により識別し、合成されたタンパク質などの物質をELISA法で定量化して評価することで、成熟した肝組織としての機能を有するLTOSsであることを確認する。 安定したLTOSsの培養方法が確立した後は、免疫不全マウスの皮下、肝表面などに移植し、移植片の形態評価、機能評価を行なう。また、疾患モデルマウスへの移植も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究と同時に行っておりため、効率的な薬剤の使用法、動物の購入などにより経費の節減に努めた。来年度は、特殊な高価な培養液や物質を使用する予定であるため、次年度に予算を繰り越した。
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