研究実績の概要 |
研究目的:厚生労働省指定難治性炎症性腸管障害クローン病(CD)に対して実験的検証によるCD肛門病変特異的な免疫学的動態探求とクローン病肛門病変特異的 か つ独創的新規治療法開発を目指すことでCD患者QOLをさらに向上させることを主目的とする. 意義:肛門局所におけるT細胞系免疫学的動態についての研究報告は 認めない.臨床的に,肛門病変の病勢コントロールが全身症状安定に繋がることから有効に 作用する可能性が高くCD治療進展に寄与できると見込んでいる.CD肛 門病変検体を検索することによる新規治療法確立の可能性がある. 重要性:PD-1抗体薬を全身投与によるT細胞系賦活化が,今までにない腸炎合併症副作用を発生 させている現象にもCD病発生原因追及のブレークスルーが存在す るのではないかという考えが本研究の根本的な学術的問いとなっている.成果がでれば国内のみ ならず国外でもインパクトのある研究となると確信している. 2019-2020年度計画:CD肛門上皮組織中の自然免疫および獲得機構の解析 肛門病変生検検体,腸管 切除手術症例については手術検体を用いて組織学的検討を行う.免疫組織染色により,浸潤T細胞(CD4, CD8, CD34, CD25),NK細胞, DC,マクロファージ等免疫 担当細胞の浸潤程度と組織学的障害度を比較検討する.CD病診断基準である非乾酪性類上皮性肉芽腫細胞陽性率を検討する.正常腸管 とクローン病腸管切除検体 を用いて肛門病変との相違点を対比検討する.従前と異なる新規T細胞不活化分子を選別できる可能性がある.肛門上皮と小腸大腸腸 管上皮におけるT細胞系 negative pathway免疫機構の相違点の詳細を明らかとし,肛門病変特異的新規治療開発に繋がる標的タンパク探索を最終目的とする.
|