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2019 年度 実施状況報告書

胃前癌病変における癌/精巣抗原の発現と発癌の関連性の証明

研究課題

研究課題/領域番号 19K09226
研究機関北里大学

研究代表者

福山 隆  北里大学, 北里大学メディカルセンター, 上級研究員 (10462251)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード胃癌 / 前癌 / 癌/精巣抗原 / MAGE-A1 / KK-LC-1 / Helicobacter pylori
研究実績の概要

申請者は、癌/精巣抗原(Cancer/testis antigen, CTA)と胃癌の原因菌であるHelicobacter pylori (Hp)の関連性を明らかにしてきた。さらに、Hp感染により一部のCTAは悪性形質を獲得する前(前癌)から発現することを明らかにした。すなわち、CTAはがん免疫療法のみならず、前癌診断に有用な標的となりうる。しかしながら、CTAを発現する前癌病変の詳細ならびに発癌との関連性については未だ明らかにされていない。本研究課題では、臨床胃癌症例の前癌領域におけるCTA、特に発現率の高いKitakyushu lung cancer antigen-1 (KK-LC-1)を中心とした発現様式を解析し、各前癌病変におけるCTAの発現と発癌の関連性を明らかにする。この証明により、CTAを利用した胃癌の高精度リスク診断の開発が可能となる。
日本における胃癌患者の90%以上は、Hpによる慢性炎症が発癌の原因と考えられている。また、腫瘍部だけではなく、非腫瘍部においてもHp感染によるダメージを受けており、前がん状態だと考えられている。当該年度は、116例の胃癌患者の胃の腫瘍部および非腫瘍部における各癌/精巣抗原の遺伝子発現について検討した。腫瘍部における各CTAの発現率は、MAGE-A1, MAGE-A3, MAGE-A4, NY-ESO-1, SSX4およびKK-LC-1で29.7%, 32.2%, 19.5%, 13.6%, 17.8%および78.0%であった。一方、非腫瘍部におけるCTAの発現率は、MAGE-A1およびKK-LC-1それぞれで1%および58.5%であった。そのほかの上述したCTAの発現は認められなかった。
以上のことから、KK-LC-1は前癌病変を反映するマーカーであることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、悪性形質を獲得していない、前癌病変におけるマーカーを選定し、癌のリスク診断、ひいては、癌予知診断を目指すものである。当該年度の研究成果から、前癌マーカーとなりうるCTAを選定することができたと考えられる。その一方で、現段階では、癌患者由来の検体の評価に留まっており、非癌患者の検体の解析が今後必要と考えられる。上述した理由を基に当該年度は概ね順調に進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

非胃癌患者におけるCTAの発現解析を実施する。特に、前癌状態で高率に発現を認めたKK-LC-1に着目した発現解析を実施する。
上部消化管内視鏡検査時に萎縮性胃炎が認められた場合、H. pylori感染の有無を調べるために迅速ウレアーゼ試験を実施するために、生検を行う。検査終了後に破棄される生検組織を回収し、各CTAの遺伝子発現について解析する。CTAの検出が認められた症例については、追跡調査を行う。

次年度使用額が生じた理由

当該年度は、当部署のスタッフが1名減員したため、計画通りの研究遂行には至らなかった。それ故、余剰が生じた。次年度の研究についても研究補助者が1名いることを前提として、計画しているため、当該年度の余剰分を研究補助者の雇用資金に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Cancer/testis antigen, Kita-Kyushu lung cancer antigen-1 and ABCD stratification for diagnosing gastric cancers2020

    • 著者名/発表者名
      Shida Akiko、Fukuyama Takashi、Futawatari Nobue、Omiya Haruki、Ichiki Yoshinobu、Yamashita Tetsuro、Nishi Yatsushi、Kobayash Noritada、Yamazaki Hitoshi、Watanabe Masahiko、Takahashi Yoshihito
    • 雑誌名

      World Journal of Gastroenterology

      巻: 26 ページ: 424~432

    • DOI

      10.3748/wjg.v26.i4.424

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Expression of Kita-Kyushu Lung Cancer Antigen-1 as Detected by a Novel Monoclonal Antibody in Gastric Cancer2019

    • 著者名/発表者名
      TAKAHASHI YOSHIHITO、FUKUYAMA TAKASHI、FUTAWATARI NOBUE、ICHIKI YOSHINOBU、OHMIYA HARUKI、CHUMAN MOTOHIRO、YAMASHITA TETSURO、HIKI NAOKI、KUMAMOTO YUSUKE、YAMAZAKI HITOSHI、NONOGUCHI HIROSHI、NISHI YATSUSHI、KOBAYASHI NORITADA
    • 雑誌名

      Anticancer Research

      巻: 39 ページ: 6259~6263

    • DOI

      10.21873/anticanres.13835

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Recent topics of lung neuroendocrine tumors2019

    • 著者名/発表者名
      Ichiki Yoshinobu、Matsumiya Hiroki、Mori Masataka、Kanayama Masatoshi、Nabe Yusuke、Taira Akihiro、Shinohara Shinji、Goto Hidenori、Kuwata Taiji、Takenaka Masaru、Oka Soichi、Chikaishi Yasuhiro、Fukuyama Takashi、Imanishi Naoko、Yoneda Kazue、Kuroda Koji、Kobayashi Noritada、Nakanishi Kozo、Tanaka Fumihiro
    • 雑誌名

      Journal of Thoracic Disease

      巻: 11 ページ: E133~E134

    • DOI

      10.21037/jtd.2019.08.40

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-03-11  

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