研究課題/領域番号 |
19K09227
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
折田 創 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50465069)
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研究分担者 |
李 賢哲 順天堂大学, 医学部, 助教 (30758321)
小林 敏之 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40260070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 極長鎖脂肪酸 / 脂肪酸合成酵素 / 大腸癌 / 胃癌 |
研究実績の概要 |
本年度(2019年)、大腸内視鏡検査時における、腺腫、腺癌、手術時の検体の採取を行った。各ステージにつき5例ずつの症例の蓄積を行っている。同時に胃癌の症例についても検体の採取を約10例行った。次年度(2020年)に脂質解析を行う予定である。 動物実験においては、申請者らにより作成した大腸癌モデルマウス(ガスダミンノックアウトマウスに対してアゾキシメタンとデキストラン硫酸ナトリウム投与したもの)、に対してエパデール投与を行ったが、下血のためマウスが途中で死亡するケースが続出し中断した。エパデールの副作用(血液凝固阻害)と考え、他の方法に変更した。普通食のみのコントロールとアスピリン連続投与したもの、さらに脂肪酸合成を阻害する糖尿病治療薬メトホルミンを投与したもので研究を再開した。 メトホルミン投与群では、発癌物質(アゾキシメタン)投与後8週から投与開始した群(10匹)はコントロール(10匹、平均3.2個 16.7㎜2)より多く癌が発生していたものの(平均5.1個 17.6㎜2)、発癌物質と同時投与した群においては約半数に腫瘍ができず、平均2個であった。アスピリン投与については、やや大きさが小さいものの (10匹 平均3.8個、10.6㎜2)、残念ながらほぼコントロールと同等の結果であり、アスピリンの大腸癌予防については予想と逆の結果となった。得られた検体、大腸を用いて次年度(2020年)、脂質解析などの詳しく検討を行うとともに、がん予防研究もその他の癌に良いとされる食品などを用いて継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者の異動により、研究環境の再整備が必要となり、一時研究の中断を余儀なくされた。再開後、前癌病変である、大腸腺腫と手術により摘出された大腸癌(各ステージ毎に)病変の凍結標本はすでに準備しており、次年度(2020年)に脂質解析を行い、癌の進行や予後と極長鎖脂肪酸(VLCFA)の蓄積の相関を調べる予定である。マウスの発癌実験は順調である。エパデールによる下血という副作用で、計画変更を余儀なくされたが、その後はメトホルミンに変更し症例集積を重ねている状況である。VLCFA蓄積のメカニズムについては、細胞実験を再開したところであり、次年度に集中的に行う。
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今後の研究の推進方策 |
集積したサンプルの脂質解析を次年度(2020年)に行い、その結果をもとに次なる検討に結び付けたいと考えている。また、癌と微小環境における代謝異常についての検討にも着手している。慢性炎症による発癌過程で、すでに脂質を含む代謝の変化が微小環境に起きており、これを正常化することによる癌の浸潤、転移抑制を目指すものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、本年度集積した検体の脂質解析を行うため、その費用として使用します。また、極長鎖脂肪酸の蓄積に関するメカニズムを探るため、In Vitroでの検討を開始するため、研究補助員を一名雇い、これに従事して頂く予定です。
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