研究課題/領域番号 |
19K09231
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
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研究分担者 |
高松 学 公益財団法人がん研究会, 有明病院 病理部, 医員 (00750366)
森 誠一 公益財団法人がん研究会, がんプレシジョン医療研究センター 次世代がん研究シーズ育成プロジェクト, プロジェクトリーダー (10334814)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70583045)
井田 智 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (80583038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食道癌 / 肥満 / 食道扁平上皮癌 / BMI / 補体 |
研究実績の概要 |
生体内における脂肪細胞は、体内エネルギーの恒常性を保つ内分泌組織であり、特に内臓脂肪過多状態は様々な代謝性疾患の原因となり、ステロイドホルモン産生状態の変化や、慢性的な低レベルの全身炎症状態を引き起こす。さらに最近では、肥満は発癌や癌の進展にも影響を及ぼすことが指摘されるようになった。しかしながらそのメカニズムは未だ明らかになっていない。これまで腫瘍局所に認められる脂肪細胞に関する知見はいくつか報告されてきているが、癌患者における内臓脂肪細胞と癌細胞同時に検討した報告は見当たらない。つまり、肥満担癌患者における内臓脂肪がどのように癌細胞の進展に関与しているかについては未解明のままである。我々は、自験6例(高BMI vs. 低BMI)の大網組織のマイクロアレイ解析にて、大網組織では補体活性化系の遺伝子発現、特にC3遺伝子、C4遺伝子が有意に高発現していることを見出した。本研究では、上記C3およびC4遺伝子の大網組織での発現を、より大規模な食道扁平上皮癌症例のサンプルサイズでの解析を行しvalidationを行う。また、肥満食道癌の腫瘍組織および内臓脂肪組織を用いて遺伝子発現解析を行い、癌細胞-脂肪細胞のinteractionを解明し、BMIや内臓脂肪量などの患者の代謝状態に応じた新規癌治療のターゲット分子を明らかにする。マルチリファレンスを用いた152症例のC3およびC4遺伝子発現量を、WHO基準によるBMI別に比較検討を行ったが、C3およびC4遺伝子共に、いずれの群間比較で有意な差を認めなかった。当初仮説とした大網組織によるC3遺伝子、C4遺伝子発現レベルは、食道癌症例の肥満レべルやがんの進行度との相関関係は認められず、悪性化メカニズムの機序の一因であることは否定的であった。今後は、フレッシュな状態の大網組織からRNAを抽出し、網羅的解析を行うことを予定している。
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