研究課題
腫瘍細胞においてヒト白血球抗原(HLA)によって提示される9アミノ酸程度のペプチド(エピトープ)はT細胞の目印となる。がん免疫療法を開発するにあたり、このエピトープペプチドを同定することが重要である。活性型K-RAS遺伝子変異を有する膵臓がんで誘導される高活性オートファジー によって生成されるエピトープが存在することを以前に明らかにした。マススペクトロメーターによるエピトープの同定が遅れているため、昨年度に引き続き膵臓がん細胞で高頻度に遺伝子が変異しているKRas遺伝子に着目して、T細胞のターゲットとなりうるのかを検討して、オートファジーによるプロセスを必要とするか否かを検討することも研究内容とした。この目的のため、KRas遺伝子変異を有するメッセンジャーRNAを作製して、抗原提示細胞に導入した。この細胞を用いて、健常人由来ナイーブ T細胞を刺激して、KRas遺伝子変異特異的T細胞の誘導を行った。その結果、複数の特異的T細胞候補、またT細胞受容体を得ることに成功した。今後、より詳細な解析を行って、エピトープ配列や拘束HLAの解析、さらにはエピトープペプチドの生成過程おけるプロセシングでオートファジー を必要とするのか否かを詳細に解析していく予定である。この研究費から得られた結果を引き続き解析することで、KRas変異遺伝子を有するがん患者検体において、同じTCRが存在するのかどうかなどを検討いて、がん組織においてもオートファジーを介したエピトープが提示されているのかを検討したい。
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Journal for ImmunoTherapy of Cancer
巻: 10 ページ: e003765~e003765
10.1136/jitc-2021-003765