研究課題/領域番号 |
19K09241
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川東 正英 京都大学, 医学研究科, 助教 (00837700)
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研究分担者 |
山崎 和裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (50464227)
金光 ひでお 京都大学, 医学研究科, 助教 (60810166)
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
砂川 玄志郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (70710250)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 低体温循環停止法 / ヒトiPS細胞 / 病態モデル / 能動的低代謝 / 臓器保護 |
研究実績の概要 |
(研究の目的) 本研究では、大血管手術などで広く用いられている低体温循環停止において、「能動的低代謝」=「人工冬眠」を併用することにより、体温低下のみによるレベルを上回る代謝低下・臓器保護をもたらすことで、効率的かつ出血などの合併症の少ない新規の「人工冬眠」併用低体温循環停止のための基礎的知見を得ることを目的とする。 (本年度の研究実績) 本年度はラット低体温循環停止モデルに対する種々の検討を行うための予備実験として、マウス臓器虚血モデルを作成し、腎臓・肝臓をはじめとした主要臓器の各体温・各虚血時間における臓器障害レベルおよび虚血再灌流障害レベルを組織学的に検討した。マウス臓器虚血モデルはマウスに対する人工呼吸管理下に左側開胸を行い、第3枝分岐直後の胸部下行大動脈を遮断することにより作製した。また体温を調節するために、既報に従いモーター動力による低体温チャンバーを作製し、マウスの体温を超低体温(18℃)まで調節できるようにした。これらの結果、短時間の臓器虚血のみでは主要臓器には体温に関わらず障害が生じにくいことが認められた一方、2-3時間以上の虚血再灌流時においては特に体温が高い状況において間質浮腫および出血を伴う多臓器障害が認められることがわかった。これらの臓器障害は、低体温において抑えらえれることも同時に認められた。さらにヒトiPS細胞から分化誘導した心血管系細胞を用いて、種々の心臓構成細胞を含む「iPSミニ心臓」の作成方法を確立した。次年度はこれらの研究成果をもとに、マウスにおいて能動的低代謝を誘導するといわれている種々の因子を用いて臓器障害が低減しうるかを確認すると同時に、ラット低体温循環停止モデルを用いた検討を行う。また、「iPSミニ心臓」を用いた能動的低代謝誘導時の代謝レベルの測定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体温を自由に調節しうるマウス臓器虚血モデルを確立し、臓器障害をきたしうる虚血および体温条件を同定することができた。またヒトiPS細胞から分化誘導した心血管系細胞を用いて、種々の心臓構成細胞を含む「iPSミニ心臓」の作成方法を確立した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のマウス臓器虚血モデルを用いた結果をもとに、マウスにおいて能動的低代謝を誘導するといわれている種々の因子を用いて臓器障害が低減しうるかを確認する。またラット低体温循環停止モデルを用いた同様の検討を行う。また、「iPSミニ心臓」を用いた能動的低代謝誘導時の代謝レベルの測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット低体温循環停止モデル作製の際に使用する送血カニューラを購入する予定であったが、本年度は予備実験としてのマウスモデルを使用する計画としたため、そのカニューラ購入用の予算に関しての未使用額が生じた。次年度にラット低体温循環停止モデルを用いた実験を行う際に、その未使用額を使用することにしたい。
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