研究課題/領域番号 |
19K09249
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
松本 拓也 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (20374168)
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研究分担者 |
古山 正 九州大学, 大学病院, 講師 (00419590)
森崎 浩一 九州大学, 大学病院, 助教 (30625801)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高血圧 / BubR1 / 老化 / 細胞周期遺伝子 / レニン・アンジオテンシン |
研究実績の概要 |
老化は、心筋梗塞、脳卒中などの心血管イベントを高率に発症し致死的な疾患の要因となる。高血圧は、更に血管イベントの発症率を増加させる。しかし、未だ老化と高血圧との詳細な分子機序の解明はなされていない。そこで老化に影響を与える遺伝子群の同定・解析・治療への応用および高血圧との関連の解明は急務である。アンジオテンシンIIにより惹起される高血圧が、加齢に伴い低下するBubR1の影響をどのように受けるかを検討する。我々が作製したBubR1低発現マウスを用いることにより、in vitroに加え、in vivoでの血圧動態変化を観察し臨床応用を目指す。本研究は、low expressing(低発現)マウスでの遺伝子の基礎解析及び臨床検体でのfeed backとその基礎解析を踏まえた臨床応用を目指した治療法の開発をする。遺伝子低発現マウス(BubR1L/L:BubR1 low expressing mutant mice)を用いた分子機構の解明及びアンギオテンシン誘発高血圧に対する影響の解析ジーンターゲティングの手法を用い既に構築しているBubR1発現量の低下したマウスBubR1L/Lマウスにアンギオテンシン注入ポンプを搭載し、BubR1の発現が低下した状態で高血圧に対するBubR1の分子機構を解析する。臨床検体での上記遺伝子分子機構のfeed backとその基礎解析を踏まえた臨床応用を目指した新規RNA標的治療薬をベースにした治療法の開発手術時採取した大動脈標本及び剖検時の大動脈、腎臓標本を用い、humanにおいても分子生物学的システムが働いているか解析する。その解析結果を踏まえ、新規RNA標的治療薬のアンチセンスBubR1を用い治療に応用する。本研究ではin vivoでの高血圧に及ぼすBubR1の影響を軸に腎臓への影響の分子機構をin vitro及びin vivoで解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Tail-cuffによるマウス血圧測定によりsham群ではBubR1+/+マウスとBubR1 H/Hマウスにおいて、収縮期血圧の上昇を認めなかったが、AngⅡ投与群ではBubR1 H/Hマウスにおいて収縮期血圧の上昇が抑えられることが分かった。実験を引き続き遂行しようとしたが微生物モニタリング検査でクリーニングを行う必要があった。このためクリーニングを試みたが、ドナー動物の高週齢化と同時に遺伝子改変動物使用ということもあり、受精率、着床率が共に低く産子数確保が困難であった。このため大本の遺伝子からF1を作製する事となり進行が遅れた。現在、近交化を目指し繁殖中である。産子数が確保でき次第、研究継続予定である。
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今後の研究の推進方策 |
BubR1は、細胞でのAngiotensin II receptor type1 (Agtr1)発現調節において、Nox、ROSおよびSAPK/JNKなどのシグナルを介して、mRNAやタンパク発現に関与している可能性がある。今後は、in vivo、in vitroに於いて、これらのタンパクの解析を進めることが、今後の検討課題であると考えている。またin vivoでのROS定量及び下流シグナルの検討。in vitroでsiRNAを用い、BubR1低発現状態でのROSの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスのクリーニングが必要になったため次年度使用額が生じ、今後の使用計画は、固体作成及び胚保存費用、九大との共同研究でマウス維持費が必要であり、実験成果の学会報告、論文作成など実験補助員も含め助成金を使用する予定である。
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