研究課題/領域番号 |
19K09251
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
池田 司 帝京大学, 医学部, 助手 (10768170)
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研究分担者 |
内山 雅照 帝京大学, 医学部, 助教 (60713295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トロンボモジュリン / 血管壁 / 微小循環障害 / 慢性拒絶反応 / 抗凝固能 / 構成ドメイン |
研究実績の概要 |
臓器移植における最大の課題である拒絶反応の内、急性拒絶反応の制御法の開発により移植成績は良好な傾向となった。一方で、慢性拒絶反応に関しては依然制御できない状態であり、移植臓器不全の大きな要因となっている。微小血管の内膜肥厚や微小血管炎が一因となる慢性拒絶反応に対して、血管内膜トロンボモジュリン(以下、TM)の減少が慢性拒絶反応の基盤となるのではと考えた。現在、血管内皮に元々存在するTMは炎症や物理的損傷によって部分的に剥離されると血液凝固を抑制する機能は果たさなくなると考えられている。構造が変化したTMは抗凝固作用を持たないことと、静脈投与したリコモジュリンがDIC急性期スコアや凝固系マーカーを改善させた等の報告から、外から補充されたTMが炎症や損傷を受けた血管内皮や血栓等に生着すること(固相化)で効果を発現している可能性が高い。また、高濃度で血液中に投与されることによる効果も否定できない。しかし、その生着部位やどのドメインが効果発現の中心となっているか不明のままである。TMの詳細な作用機序を解明するために、TMを構成する3つのドメイン(D1~D3)を用いて、TM生着部位の特定と各ドメインによる抗凝固能と抗炎症作用を評価する。 2019年度はTMによる生着延長期間測定と血管内皮TM染色の再確認を行った。まず、手術用顕微鏡を用いて、C57BL/6マウス心臓をCBAマウスの腹部に移植すると、無処置(無治療群)では約7日間で拒絶される。無治療群の術後血中TM濃度を測定したところ、術後3日目に最低となり、その後徐々に回復し術後10日目には術前まで回復した。この結果は既に報告した我々の論文と同様の結果となった。また、TMの作用部位であると考えらえる血管内腔の評価目的に、小血管である冠動脈と大血管である上行大動脈のTMを免疫組織染色で評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験の中心となるマウスモデルの作成が順調であったため。
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今後の研究の推進方策 |
TM構成ドメインの投与による抗凝固能・抗炎症作用の評価
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次年度使用額が生じた理由 |
・マウス繁殖が予想より順調であり、追加購入するマウスが少なかった。 ・手術用薬剤(麻酔薬、縫合糸など)を節約し、当該年度の追加購入を控えることが出来たため。
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