研究課題/領域番号 |
19K09254
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岡田 隆之 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60421278)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大動脈疾患 / 大動脈瘤 / 大動脈解離 / 網羅的遺伝子探索 / 心臓血管外科 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
大動脈疾患患者の遺伝子発現状況は、家族性疾患や後天的な遺伝修飾様式が知られてきた。本研究で対象となっている血管外科治療を要する患者を2群に分け、人工血管置換手術群とステントグラフト手術群間での背景交絡因子の解析が実施できた。関連疾患として感染性大動脈瘤の治療方法の検討は、2022年血管外科学会総会の会長要望演題で臨床成績を発表した。 しかし各症例はCOVID-19感染流行が背景にあり当初の予定症例数に至らず、補助事業期間延長が申請・承認された。 研究期間内の治療成績は良好に担保されており、順次プロトコールに則った遺伝子発現状況に合わせた病態を解析する。実質臓器の嚢胞変性が多く合併するため、遺伝子発現の定量にて網羅的な遺伝子発現傾向を捉える事ができるか検討する。 次世代シークエンサーIon-PGMを用いたターゲットシークエンス結果をデータベースを基にした遺伝子変異および遺伝子多型を同定する。原因遺伝子が同定されず、家族性発症が濃厚な場合は次世代シークエンスを用いた全エクソーム解析を行い原因遺伝子の探索を行う。多様性に富む遺伝子修飾が同定された場合は、心機能不整脈の発生あるいは心血管イベントの合併に影響があるかを調査する。網羅的遺伝子解析で特徴的な遺伝子発現が同定された際には、動脈瘤の分類として解離性・非解離性や嚢状瘤・紡錘状瘤の血管病理組織や形態的差異の相違点を明らかにしたい。また、解析ソフトを用いて遺伝子発現傾向を評価してバイオマーカーを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究での対象疾患群はCOVID-19感染流行のためか、検討予定であった症例数に至っていない。補助期間延長を申請・承認されたため、順次プロトコールに則った遺伝子発現状況に合わせた病態を解析する。
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今後の研究の推進方策 |
科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長が承認され、必要症例を収集して非侵襲的介入・観察をすすめる。本研究で血管外科治療を要する患者の想定される交絡因子を解析検討する。さらに症例の治療成績および生存経過をフォローする。なお、症例数と新規解析方法への変更を要する場合はプロトコールの修正を検討する。今後も課題内容に則り、大血管疾患の病態と遺伝子発現状況を勘案した解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に予定した症例数が収集されず、期間延長として解析を継続している。そのため遺伝子子発現を定量的に検出できるnCounter Analysis Systemの使用や相当する外注検査への移行を検討している。網羅的に遺伝子発現傾向を捉える事で、疾患発現に関連した遺伝子群 の組合せを同定し、有効なバイオマーカーの新規同定が期待される。また、遺伝子発現パネルの調整は可能であり次年度の繰り越しとした。DNA解析に使用する解析対象の遺伝子は、心血管疾患に関連する約400-800遺伝子を予定している。
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