研究課題/領域番号 |
19K09261
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
土田 憲 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (60816403)
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研究分担者 |
後藤 均 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00400333)
赤松 大二朗 東北大学, 大学病院, 講師 (40420012)
藤島 史喜 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40451596)
多田 寛 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50436127)
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
綿貫 宗則 東北大学, 大学病院, 講師 (90451575)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 閉塞性動脈硬化症 / 重症下肢虚血 / CLTI / 組織障害因子 |
研究実績の概要 |
重症下肢虚血(CLI: Critical Limb Ischemia)は下肢末梢動脈疾患(PAD: Peripheral Artery Disease)のうち安静時疼痛や虚血性潰瘍・壊死を呈する最重症の病態であり、何らかの血行再建術を行わなければ約30%が一年以内に大切断を余儀なくされる。しかし、脆弱な患者背景から周術期死亡率が高い上に創傷治癒まで長期間を要するため医療費の高騰など様々な問題を生んでいる。重症下肢虚血は血行再建を行わなければ創傷は拡大し続ける。全身麻酔下のバイパス手術は一般に侵襲が大きいため局所麻酔で施行可能な血管内治療が血行再建術式として選択される事も多い。しかし特に下腿動脈病変に対するバルーン拡張術の開存性は低く、3ヶ月以内に約80%の症例で再狭窄が生じ約40%で再閉塞する。拡張血管の再狭窄・閉塞による虚血の再発に伴い、潰瘍・壊疽も再発すると想定されるがしかし、自験例で下腿動脈にカテーテル治療を施し一旦創傷が治癒した症例における虚血性潰瘍・壊疽再発率は低かった。この事から我々は虚血から潰瘍・壊疽の形成と進展過程には組織障害を惹起する何らかの要因が介在するものと推察した。患者の切断組織を用いて虚血障害の機序を蛍光ナノ粒子技術を駆使して病理組織学的に明らかにし、CLI治療における新しい治療法を開発することを目的として本研究を申請した。現段階では虚血性疾患による切断肢30趾と非虚血性疾患による切断下肢5趾を用いて各々の切断肢における種々のタンパク質発現の違い比較検討している。また、第二段階として動物実験を行い、虚血モデルにおける組織障害に特有のタンパク質の同定を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階では虚血性壊死組織が順調なペースで検討できている。一方で非虚血性壊死組織の検体が少し鈍いが当初の予定とほぼ変わらないペースで検討が行えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに非虚血性壊死組織の検体を集めるためには、現状のコロナウイルス感染状況が沈静化しなければ難しいと考える。感染状況が落ち着けば外来患者数ならびに手術数の増加が見込めるため、検討症例数も予定ベースに戻ると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に病理組織検体に要した諸経費の支払いが昨年度中に行なわれず次年度に支払う事になったため予定した使用額とならなかった。また、参加を検討していた学会がコロナウイルス蔓延の影響で軒並み不参加となったことも影響している。今年度以降は必要研究費は増加する見込みである。
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