研究課題/領域番号 |
19K09272
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
上野 耕司 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30736070)
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研究分担者 |
佐村 誠 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (30773402)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血管新生microRNA |
研究実績の概要 |
研究代表者らは、これまでに血管新生能が高いmicroRNAを同定しているが、そのmicroRNAの血管新生に関する機序は解明されていない。本研究では、そのmicroRNAが、標的とする遺伝子を解析し、更に、その結果から、既存のmicroRNAよりも強力に標的遺伝子に作用する人工核酸を用いた血管新生療法を開発することを目指している。 microRNAを内包させたエクソソームを作製するために、細胞にmicroRNAを導入して培養後、その培養上清を回収し、培養液中のエクソソームを専用試薬を用いて単離し、エクソソームに内包されているmicroRNAを抽出した。また、この時の細胞からもmicroRNAを抽出した。そして、細胞由来のmicroRNAおよびエクソソーム由来のmicroRNAを用いて、qPCRにより、microRNAの発現量および内包量を測定した。細胞由来のmicroRNAおよびエクソソーム由来のmicroRNAの両方において、導入したmicroRNAが高いレベルで発現および内包されている結果を得た。 次に、マウス重症下肢虚血モデルに対して、上記で作製したmicroRNA内包エクソソームを投与した治療群と無治療群における大腿部のbFGFの発現量を比較すると、microRNA内包エクソソームを投与した治療群では、優位に高いbFGFの発現が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血管新生microRNAを研究するために必要となるツールである、microRNA内包エクソソームの作製法を確立し、更に、そのmicroRNA内包エクソソームの血管新生能をマウス重症下肢虚血モデルで証明することが出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
microRNAが標的とする遺伝子を探索するために、target scan algorithms 解析のウ ェブサイトの一つである microRNA.org (http://www.microrna.org/microrna/home.do)で、 血管新生を誘導する microRNAの標的遺伝子候補を見つける。 そして、その標的遺伝子に対してmicroRNAが作用するか否かを、、3’UTR ルシフェ ラーゼアッセイベクターを用いて評価することで、microRNAの標的遺伝子を同定する。 次に、その標的遺伝子をノックダウンさせるベクターを、内皮細胞に導入後、その内皮細胞のRNAを抽出し、血管新生に関与する遺伝子の発現をqPCRで解析することで、血管新生microRNAの標的遺伝子の同定と、その遺伝子の血管新生メカニズム解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品である培地は既に購入済みのものを使用し、また、コロナウイルスのために学会開催が中止となり、予定した旅費を使用しなかった為。次年度使用額は、実験動物の購入費に使用する。
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