研究課題/領域番号 |
19K09278
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
川島 友和 東邦大学, 医学部, 准教授 (00328402)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心臓刺激伝導系 / 臨床解剖学 / 画像解析 / 伝導障害 / 不整脈 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、科研費の前採択課題によって実施された”人体内配置が反映された刺激伝導系の3次元モデルの作製技術”をさらに発展させ、刺激伝導系の4次元形態情報化を行うことである。つまり、正常な刺激伝導系の3次元構造のみならず、個体差が反映された生理的変化軸、機能軸や病態軸などの別の1軸を追加した人体刺激伝導系の4次元形態解析に発展させることである。さらには本課題の特徴は、形態が著しく異なる実験動物を対象とするのではなく、ただちに結果が臨床へ帰納可能な人体試料を解析対象とすることである。 本年度も昨年度と同様にCOVID-19の影響により、外部での研究活動が制限されたため、学内においてサイプルサイズの拡大とその解釈を中心とした研究データの収集を継続した。特に本年度前半は臨床解剖学的解析とその組織学的評価を中心に行い、後半から活発にCT画像解析を行った。この活動により、理論的ならびに技術的方法論が適当であるかについて徹底的に再検討することができた。その結果として、人体刺激伝導系の体内配置に関する視覚化と心臓の生理的位置変動に伴う刺激伝導系の4次元変化についての大きな新知見を得ることができた。論文として取りまとめを実施し、年度末の時点で査読結果を受けて原稿を改訂した。本成果は、人体刺激伝導系の多様性を示すだけでなく、人体正常構造・配置のデータベースとしての価値も有している。次年度の最終成果の達成へ向けて、現時点で十分な結果を得たといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度もコロナウイルスのパンディミックの影響により、学会発表や論文公表等の成果公表や外部機関での研究解析等の制約があったものの、解剖ならびにその組織学的解析と、学内設置済みの産業用CTと医療用CTを使用した画像解析に専念し、一次データの収集を行い、その取りまとめを行なった。 産業用CT撮影装置の設置、撮像法や条件の最適化、ならびに研究の解析法や方法論の確率などに時間を要したことにより、画像データの収集と解析が遅れが懸念されたが、これまでの解析経験により、機器の特性の理解や撮影条件の決定などの比較的時間を要する問題も順調に対応することができた。つまり、導入から解析開始するまでの時間を大幅に短縮することができたことで、その後の実際の解析へスムーズに移行することが可能であった。また、前半では主に方法論の最適化などの事前解析や解剖ならびに組織学的解析などのサポートデータの獲得を行い、後半では解剖学的サンプルの画像撮像を集中的に行うことで多くの一次データが得られた。想定していた全体の解析予定に遅れは生じていない。最終年度に予定されていた論文作成とその改訂作業までを前倒しして実施した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、投稿済みかつ改訂作業をおこなっている投稿論文の受理を目指す。本研究の最終年度の前半で、改訂作業を通じて指摘を受けた問題点を解決するための追加実験を集中的に行い、”人体刺激伝導系の体内配置に関する視覚化と心臓の生理的位置変動に伴う刺激伝導系の4次元変化について”の研究達成・終了を目指す。後半部では、さらなる追加データの収集を行い、刺激伝導系の機能軸や病態軸変化に関する予備データの収集を行い、問題点の探索から次の研究課題のための導入としたい。さらには、関連学会での成果発表を通じて、本研究課題の評価を受けることや次年度以降の新規研究課題の方向性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度と同様に今年度もコロナ禍のため、外部研究活動が大きく制限された。そのため、当講座内に設置済みの産業用CTを用いて、画像撮像とデータ蓄積することに専念した。当初想定した海外出張や他の解析に必要な消耗品等を必要としなかったため、わずかな余剰金が生じた。次年度の研究経費は、その余剰金を含めて20万円程度である。現在投稿準備中の論文での改定の際の追加実験の要求への対応やデータの追加収集のためのため、外部機関での医療用CTやMRIを用いて解析する撮影費用とその撮影データや加工データ保存のための記憶媒体の購入資金に充てる予定である。
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