今年度は、最終年度として今後の研究発展のための予備調査と本研究課題のとりまとめを行った。 今後の研究発展のための予備調査に関しては、本研究課題によって確立した”刺激伝導系の体内3次元配置とその正常生理的心臓位置変化に伴う刺激伝導系の4次元配置に関する可視化技術”を、関連領域でどのように活用するかを検討した。積極的な関連学会への参加や関連文献等を精査して、心臓血管外科での新規伝導障害の回避や刺激伝導系ペーシングに関する手技や治療成績に関する問題点と解剖学的特殊性の関連性を検討をした。次に、実際に摘出心を対象に、解剖学的、組織学的、ならびに画像解剖学的な観点からのさらなる予備調査を実施した。これにより、解決すべき問題点を探り、いくつかの研究テーマを得た。一方で、さらなる詳細なデータを獲得するためにはより詳細な先端解析機器を使用して、技術的な改良が必要であること、多くの個体差を生じさせる関連因子を多角的に追跡する必要性が明らかとなった。何れにしても、本研究課題で確立された体内配置が保存された刺激伝導系の3次元配置を可視化させる技術は、現在のところではわれわれの排他的技術であり、臨床課題の克服のための臨床解剖学的基盤構築は、われわれが解決すべき重要課題である。今後のさらなる研究発展に向けての重要な予備調査となった。 さらには、本研究課題の最終年度ということで、これまでに得られた成果のとりまとめを行い、成果公表も積極的に行った。関連学会の討論によって、現行の手法の限界と今後の展望を得ることができた。
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