研究課題/領域番号 |
19K09279
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
宮地 秀樹 日本医科大学, 医学部, 助教 (90386235)
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研究分担者 |
中澤 靖元 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20456255)
大石 由美子 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80435734)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生体吸収性動脈グラフト / 血管リモデリング / 細胞浸潤性試験 / 血管再生 / 生体吸収材料 |
研究実績の概要 |
外側からのマクロファージ浸潤により血管再生を促進する吸収性動脈グラフトの開発として当研究を開始したが、この3年間はCovid-19の影響をまともに受け、大学院生に依頼予定であった実験がほぼできず非常に困難な期間であった。理想とする二層性グラフトの作成のためにまず外層となるシートをelectrospinning法を用いて作成した。研究計画書の課題2で示したようにポアサイズ2,10 umのシートは作成し得たが、ポアサイズ20umは技術的に困難であった。前者2つのシートに対し細胞浸潤性試験を行った。細胞浸潤性試験の方法に関しても、新規に開発が必要で、すでに市販されている浸潤試験のキットを参考に、様々な溶液を用い、実験を繰り返し安定した実験系を作成することができた。その結果、positive controlよりも上記のシートはともに細胞浸潤が不良であることを見い出した。この細胞浸潤性試験の結果に関しては現在論文作成中である。一方で細胞浸潤性の高い外層を得るためにはポアサイズの大きいシート作成が不可欠であったが、これが技術的に厳しいことが判明した。また細胞が浸潤するであろうと考えられたポアサイズ10 umでも細胞浸潤は抑制されており、ポアサイズで細胞浸潤を予測することが困難であることが今回の実験から判明した。以上から外側からのマクロファージ浸潤を促しつつ、生体吸収されていくグラフトを作製するために、二層性ではなく、吸収期間の異なる階層構造を持ったグラフトの作成を行うことが重要との考えに至り、階層構造を持ったシートの作成を行った。これはすでに論文として発表することができた。今回得られた知見は非常に意義深く、今後の理想的な生体吸収性動脈グラフトの作成に行かされるものである。
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