研究課題/領域番号 |
19K09283
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊 洋次郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (60829456)
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研究分担者 |
芳川 豊史 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00452334)
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 臓器保存 / 殺菌 / ウルトラファインバブル / 感染症 / オゾン / 膿胸 / 抗生剤 / 洗浄 |
研究実績の概要 |
<目的>当初ウルトラファインバブル(UFB)を臓器保存液として使用する予定であったが、同液体のガス保存能と殺菌作用に注目し、感染症治療への応用へと計画を変更した。呼吸器外科領域において膿胸を含めた体腔内感染に対して抗菌薬治療は必須だが、体腔内は抗菌薬の到達度が低く、治療期間は数週間以上にわたることも多い。体腔内洗浄には生理食塩水が使用され、既存の消毒剤は組織傷害性の面から認められていない。一方、オゾンは殺菌効果を有し、半減期の短さから体腔内遺残のリスクは低いものの、保存に適さなかった。研究目的をオゾンをUFBとして保存し、安全かつ殺菌力の高い洗浄液を作成することとした。 <研究実施内容>2019年から2021年にかけて橋渡し研究シーズAおよび学内からのプログラムの支援下および関連企業との共同研究において以下の内容を実施した。1)オゾンウルトラファインバブルの生理食塩水中での微細気泡個数の経時的安定性の確認。2)オゾンウルトラファインバブル水中の溶存オゾン濃度の経時的変化の確認(オゾン水よりも濃度低下速度が緩徐で、有効濃度域にとどまる時間が長い) 3)オゾンウルトラファインバブル水のグラム陽性菌・陰性菌・薬剤耐性菌・嫌気性菌への殺菌作用の確認。4)ラット膿胸モデルを用いた、オゾンウルトラファインバブル水の胸腔内における殺菌効果の確認。5)ラット胸腔内におけるオゾンウルトラファインバブル水の組織非傷害性の確認。6)オゾンガス発生、ウルトラファインバブル化、オゾン濃度調整、オゾン耐用専用容器へのボトリングまでを一体型閉鎖式とする機器として、企業との特許共同出願予定(2022年4月出願)。7)PMDA医療機器申請に関する全般相談および対面助言準備面談まで終了。現在、曝露のリスクや臨床上の利便性を考慮し、全工程を閉鎖式一体型とする新たなオゾンUFB製造機の開発を目指している。
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備考 |
本研究で得られた成果に関しては現在論文作成中であり、2022年度中に発表予定である。また、本件は日本医療研究開発機構(AMED)橋渡し研究プログラムの支援を受けており、プロトタイプのオゾンUFT製造器が完成次第、オゾンUFTの持つ殺菌作用の再検証および、臨床応用に向けて進めていく予定である。
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