研究課題/領域番号 |
19K09294
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構埼玉病院(臨床研究部) |
研究代表者 |
市来 嘉伸 独立行政法人国立病院機構埼玉病院(臨床研究部), 診療部, 呼吸器外科医長 (80419837)
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研究分担者 |
田中 文啓 産業医科大学, 医学部, 教授 (10283673)
米田 和恵 産業医科大学, 医学部, 講師 (80724806) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 癌免疫 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 肺癌 / CD103 / 腫瘍内浸潤リンパ球 / PD-1 / PD-L1 / 細胞性免疫応答 |
研究実績の概要 |
背景および目的 免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は肺がんの薬物療法の中心になり、効果や有害事象を予測できるバイオマーカーの確立が待たれています。末梢血単核細胞(PBMC)と肺癌組織における免疫関連分子発現とICI単剤療法の効果との関連を前向きに分析しました。 方法 ICI単剤療法を受けた進行非小細胞肺癌の21人の患者を対象としました。 ICIの投与前後のPBMCにおける免疫関連分子の発現の変化をフローサイトメトリーにて分析しました。ICI投与前の癌細胞のMHCクラスIおよびPD-L1発現、および肺癌組織における腫瘍浸潤免疫細胞のPD-L1、CD8、CD103発現を、免疫染色にて確認しました。 結果 11人の腺癌と10人の扁平上皮癌の症例を含む21人の患者を対象としました。抗PD-1抗体(n = 18)および抗PD-L1抗体(n = 3)を投与しました。臨床効果は次のように評価しました。CR(n = 1)、PR(n = 7)、SD(n = 10)およびPD(n = 3)。 PBMCで発現する免疫関連分子の中で、投与後のCD103+ CD39+ CD8+T細胞の変化は臨床効果と密接に相関していました。無増悪生存期間(PFS)における単変量解析では、投与後のCD103+ CD39+ CD8+細胞の変化が有意な予後因子として同定され、投与後のCD103+ CD39+CD8+細胞の変化とブリンクマン指数はPFSにおける多変量解析にて独立した予後因子となりました。 結論 投与後のCD103+CD39 + CD8 +細胞の変化は、ICIの有効性を予測するバイオマーカーとなり得る可能性が示唆されました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)投与を行った進行非小細胞肺癌の21人の患者の末梢血単核細胞(PBMC)と肺癌組織における免疫関連分子発現とICI単剤療法の効果との関連を前向き解析が終了し、日本肺癌学会総会や日本呼吸器外科学会などでも発表し、現在論文投稿中です。すでに、今回の研究期間内に5報の関連した英語論文も発表できており、順調に進行していると思われます。
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今後の研究の推進方策 |
最後の解析として、現在免疫チェックポイント阻害剤(ICI)投与を行った進行非小細胞肺癌の21人の患者の血清を用いて、可溶性PD-L1を測定している。ELISA法にて可溶性PD-L1を測定し、ICI単剤療法の効果との関連を解析し、論文発表する予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大と複合的癌免疫療法(抗癌剤+免疫療法)の開発により、免疫チェックポイント阻害剤単剤治療を受ける肺癌患者の症例集積に時間を要したため、データ解析、発表が、当初の予定より若干の遅れを生じました。 現在、日本肺癌学会総会や日本呼吸器外科学会などのでの発表も終了し、論文も完成しており、投稿中です。あと数ヶ月で医学雑誌に論文発表できる見込みであり、計画が完結する予定です。
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