研究課題/領域番号 |
19K09296
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
横井 左奈 千葉県がんセンター(研究所), 遺伝子診断部, 部長 (30372452)
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研究分担者 |
飯笹 俊彦 千葉県がんセンター(研究所), その他部局等, 病院長 (10272303)
岩田 剛和 千葉県がんセンター(研究所), 呼吸器外科, 部長 (30586681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺癌 / EGFR |
研究実績の概要 |
EGFR遺伝子は、エクソン19の欠失型変異やエクソン21のL858R変異が生じると活性化型となる。EGFR活性化型変異陽性肺がんはチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に感受性を示す。しかしTKI治療後約1年で再発する症例が多く、治療抵抗性機構としてEGFR遺伝子に新たにT790M変異が加わることが知られている。このようなEGFR遺伝子の複合型変異は、活性化型変異にTKI治療による耐性変異が付加して生じると考えられてきた。しかし我々は、EGFRの複合変異にはさまざまな変異の組み合わせがあり、TKI治療歴のない症例にも認められることを発見した。本研究では、TKI治療歴のない肺腺がんに生じたEGFR複合変異に着目し、変異のアレル特異性とTKI感受性の関係およびがん化への寄与を明らかにすることを目的とする。 今年度は、これまでに見出したEGFRの複合変異症例につき解析を進めた。最も頻度が高かったエクソン21レアバリアントを含む複合変異を有する症例9例は、全例が肺腺癌であり、7例は同一エクソン内のL858Rがcis位に配置する複合変異であった。これらの症例につき、バリアントがどの時点で生じたのかを解明するために、まずは各症例の非腫瘍部の配列を決定した。その結果、驚くべきことに、全ての症例で非腫瘍部からレアバリアントが検出され、L858Rは検出されなかった。この結果から、これらの症例は生殖細胞系列由来のレアバリアントと体細胞由来のL858Rからなる複合変異であったことが判明した。昨年度までの研究によりこれらの症例の多くが、若年発症、重複癌であったことから、このレアバリアントは遺伝性肺癌の原因となる病的バリアントと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の通り、EGFR複合変異症例の検討を進めた結果、当初の計画では予想していなかった重要な結果が得られ、肺癌の発癌機構に迫ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画の予想を上回る重要な結果が得られた。本研究のこれまでの成果を論文にまとめ投稿する予定である。今回我々が見出した遺伝性肺癌は世界的にもほとんど報告がなく、疾患概念も確立していない。今後は、新たな研究費を申請し、研究を継続発展させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の研究により、当初の計画では想定していなかった重要な結果が得られた。そのため、肺癌の遺伝素因に関連した解析が必要となり、研究費の使用計画を一部変更し、研究期間を1年延長して成果を論文にまとめることとしたため。
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