研究課題/領域番号 |
19K09306
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山根 正修 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20432643)
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研究分担者 |
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
松川 昭博 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90264283)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肺移植 / 虚血再灌流障害 / MAPキナーゼ / SPRED2 |
研究実績の概要 |
Spred2はMAPキナーゼ経路の抑制因子であり、様々な免疫・炎症反応に関与している。 我々は、Spred2のノックアウトマウスを用いた肺の虚血再灌流モデル(肺門クランプモデル、および同種間片肺移植モデル)において、Spred2がMAPKカスケードの抑制を介して虚血再灌流傷害を抑制しうることを示した。また、最近ではSpred2が上皮細胞のターンオーバーにも関与していることが示唆されつつある。 この研究では肺門部クランプモデルによる虚血再灌流障害、肺移植モデルを用いたより臨床的な虚血再灌流障害と急性拒絶、気管移植モデルを用いた慢性拒絶、のそれぞれ特徴的なモデルを用いた。肺障害、拒絶反応の環境においてSPRED2の関与を明らかにする。前述のように肺門クランプおよび肺移植モデルを用いた虚血再灌流障害の研究は終了し、拒絶反応における関与を検討する。さらに新しく開発されたマウス、細胞・組織特異的にSpred2をノックアウトしたコンディショナルノックアウトマウス(CD4T細胞特異的、マクロファージ特異的、好中球特異的にノックアウトしたマウス)、逆に過剰発言させたトランスジェニックマウスを開発し、さらに詳細な肺障害と拒絶反応におけるMAPキナーゼ経路のメカニズムを探り新たな治療法に結び付け、肺移植後の新しい肺機能温存法の開発を目指すことを目的とした。また標的細胞へ投入可能なSpred2タンパクの開発を進めている。本研究が進み結果を詳細に分析することによって最適なSpred2タンパクの投与経路、方法の検討を詳細に行うことができ、将来的には動物への投与実験を見据え、さらには臨床応用への発展性を探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Spred2を過剰発現するように遺伝子改変したマウス(以下、Spred2トランスジェニックマウス)を用いて、肺門クランプモデルによるSpred2の虚血再灌流傷害抑制効果の検討を試みた。しかし、Spred2トランスジェニックマウスにおけるSpred2タンパク質の過剰発現を確認することができず、また野生型マウスと比較して虚血再灌流傷害の抑制が確認できなかった。 また、Spred2 LysMCre マウスを用いたコンディショナルノックアウトマウスを用いた虚血再灌流傷害の評価も行っており、こちらは現在進行中である。 さらに、Spred2KOマウスを用いた異種間異所性気管移植モデルでの拒絶反応の評価も行っており、こちらは現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
Spred2 LysMCre マウスを用いた虚血再灌流傷害を、肺門クランプモデル並びに同系間肺移植モデルを用いて評価することを検討している。 また、Spred2が上皮ターンオーバーとリンパ球へどのように関与するのか、異系気管移植による慢性拒絶モデルを用いて評価することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物の飼育が予定より減じたため、次年度の飼育費として使用する計画とした。
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