本研究の目的は腫瘍局所に存在する特異的T細胞を標的とした新たな細胞免疫療法の理論的根拠を明らかにすることである.そのためには腫瘍の微小環境の包括的な理解が重要であると考え,まず腫瘍微小環境を詳細に解析した結果,3次リンパ様構造(TLS)の存在が肺癌患者の予後や免疫療法の効果と関連することを明らかにした.一方で,腫瘍局所に存在する特定のT細胞レセプター(TCR)を有するCD8T細胞の頻度とその挙動を確認し,腫瘍特異的と考えられるT細胞の末梢へのExpansionについて確認した.これらの結果によって腫瘍特異的T細胞療法の実用化に向けた重要な基礎的データを得ることができた.
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