研究課題/領域番号 |
19K09324
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
加藤 孝澄 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80204478)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 人工心肺 / グリコカリックス |
研究実績の概要 |
分子状水素吸入による人工心肺後の脳障害軽減・血管内皮グリコカリックス保護効果について、研究を進めている。ラット用の従来より使用していた人工装置を改良し、安定して体重あたり80-100ml/minで対外循環を行えるようになった。リザーバー槽の血液面を検出できるよになり、抜血不良時の送血をー時的に停止させることにより、空気を体内に送り込むアクシデントが防げるようになった。従来は抜血のために、リザーバー槽をラットより20-30cm下に位置させるようにして、落差を作り、抜血を行っていたため、回路全体のプレフィルド容量が大きくなってしまっており、高度の血液希釈が発生し、人工心肺離脱後の貧血が起こり、他の個体からの輸血なしでは安定的に体外循環を維持することができなかった。今回新しく、定圧陰圧装置を開発し、これを人工心肺装置に組み込むことで、プレフィルド容量を劇的に減少させることに成功した。この結果約1時間程度の体外循環を安定して行うことができるようになった。その後1W以上に渡り生存できるラットの割り合い増加している。送血管の挿入を初期には、大腿動脈より行っていたが、対外循環臓後に血流が上手く再開できないことがあり、下肢の虚血により麻痺を起こす個体があったため、送血管を左頚動脈より行うことに変更した。対側の頸動脈血流が温存されているので、術後の麻痺はおこらなくなった。臓器からの摘出した血管からのグリコカリックスを映像化しその厚さを観察できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に向けて、必要な人工肺の確保の目処も付き現時点で些細な困難はあるがプロトコールに影響をあたえる大きな困難はない。
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今後の研究の推進方策 |
まだ一部手技的に安定していない部分はあるが概ね初期予定しているプロトコールで研究を進めていけると考えている。 水素濃度が、現時点で1濃度で行うことになっている。可能なら複数の濃度に拡張して行きたい。同時に脳以外の臓器における血管内皮グリコカリックスを観察が可能になることも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で旅費の出費が減少したこと。最も費用を使用する予定であった人工心肺用の人工肺が生産元の事情により購入が遅れて出費が大幅に少なくなったことが大きな理由である。
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