本研究により、人工心肺中に分子状水素を投与することにより、人工心肺による全身炎症および肺障害を軽減することが明確になった。心臓と肺では、血管内皮グリコカリックスの厚さは、有意に減少したが脳でほとんど変化しなかことにより、臓器によって障害の程度が異なることが明らかになり、初期に想定された脳障害の程度を抑制するとの仮説は、実証できなかったが、心臓や肺といった他の重要臓器の保護に、分子状水素を人工心肺に投与することの重要性が明確になり、人工心肺による障害を臨床でも改善できる可能性が示された。臨床麻酔に用いるための、有効な基礎的なデータが得られさらなる研究を進めていく重要性も確認された。
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