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2019 年度 実施状況報告書

グルカゴン様ペプチド1作動薬を用いた内在性保護機構活性化による脊髄保護

研究課題

研究課題/領域番号 19K09327
研究機関山口大学

研究代表者

松本 美志也  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60243664)

研究分担者 山下 敦生  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (50379971)
水上 洋一  山口大学, 大学研究推進機構, 教授 (80274158)
若松 弘也  山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80379966)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード脊髄虚血 / 家兎 / グルカゴン様ペプチド1 / Exendin-4
研究実績の概要

小腸で産生され血糖コントロールに関与しているGlucagon-like peptide-1 の受容体作動薬(GLP-1RA)が脳保護作用を発揮する可能性が動物実験で報告され、その中枢神経系に及ぼす作用に注目が集まっている。今回、GLP-1RAの一つであるExendin-4(E-4)の脊髄保護効果を検討した。
【方法】家兎を 4 群(各n=6 )に分けた。全身麻酔導入後、大動脈遮断60分前にそれぞれE-4(生理食塩水に溶解)2 μg/kg 、10 μg/kg 、50 μg/kg 、生理食塩水(対照群)を静脈投与した。左腎動脈直下の大動脈を露出し 15 分間遮断した。E-4投与前、投与後30分、60分、90分に血糖を測定した。再灌流後 7 日間後肢運動機能を 5 段階で評価した(4:正常、3:跳躍できるが正常ではない、2:後肢はよく動くが跳躍できない、1:後肢がわずかに動く、0:後肢の完全麻痺)。その後、HE 染色により腰部脊髄( L5 )腹側の正常神経細胞数を計測した。
【結果】再灌流7日後の後肢運動機能は2 μg/kg群で4:1匹、1:2匹、0:3匹、10 μg/kg群で 3:2匹、2:2匹、1:2匹、50 μg/kgで3:1匹、2:1匹、1:2匹、0:2匹、対照群で2:2匹、1:2匹、0:2匹で群間に有意差はなかった。血糖値の経時的な変化に4群間で有意差はなく、低血糖も起こらなかった。再灌流7日後のL5腹側正常神経細胞数にも群間差はなかった。
【考察と結語】E-4の臨床使用量の目安は0.1 μg/kgである。マウスの局所脳虚血モデルでは10 μg/kgと50 μg/kgの投与で脳保護効果が報告されている。今回の検討では保護効果は認められなかった。局所脳虚血モデルより脊髄虚血モデルのほうが虚血侵襲が強いため、保護効果が認められなかった可能性があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成31年(令和1年)度の研究で、Exendin-4の脊髄保護効果について3つのdoseで検討を行ったが、神経学的および組織学的には有意差はなかった。Exendin-4は大量投与にもかかわらず、低血糖を起こさなかった。低血糖を起こさなかった点は今後の研究を続けて行く上で利点となる。GLP-1作動薬にはヒトGLP-1を基にしたGLP-1アナログであるリラグルチド(Liraglutide)とオオトカゲの唾液腺から分離されたペプチドを基にした薬剤であるエクセナチド(exenatide)があり、後者の効果について脊髄保護に関する有効性は見いだせなかったが、その効果を検証できたことは一つの成果と考えられる。

今後の研究の推進方策

GLP-1作動薬にはオオトカゲの唾液腺から分離されたペプチドを基にした薬剤であるエクセナチド(exenatide)とヒトGLP-1を基にしたGLP-1アナログであるリラグルチド(Liraglutide)とがある。前者の効果については2019年度の研究で脊髄保護効果を見いだせなかった。今後は、Liraglutideで保護効果を検討してみる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Glucagon-like peptide-1受容体作動薬による脊髄保護効果2020

    • 著者名/発表者名
      山下敦生、松本美志也
    • 学会等名
      日本麻酔科学会第67回学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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