研究課題/領域番号 |
19K09330
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
恒吉 勇男 宮崎大学, 医学部, 教授 (90301390)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全身麻酔 / 静脈 / 血管径 / MillSuss |
研究実績の概要 |
全身麻酔時には動脈や静脈の血管径が変化することで循環血液量を調節し、また血圧や体温、放熱など様々な生体反応に深く関与していることが知られている。しかしながら、それら血管径の変化を直接的に手術患者において観察することは不可能であった。近年、手首の背面から近赤外光を照射し、手首を透過した近赤外光をカメラで血管を明確に描出させる血管可視化装置(MillSuss)が発売された。本装置は、手術で観血的な血圧を測定のための動脈ライン穿刺に際し、通常の触診による穿刺では難しい患者において動脈を可視化させ穿刺を容易にするものである。本装置は、動脈のみならず表在の静脈も可視化することができるため、静脈径の変化も観察することができる。MillSussで得られた画像をメモリーに保存し、血管径の専用の解析ソフト(MyoVIEW)にて計測する。解析には保存画像を用いるため人体に悪影響はない。 MillSussの作動原理として、血管の可視化に安全性の確立している近赤外光を用いるため人体には無害である。 現在、温度変化における手掌の静脈径の変化に関して実験を行い、良好なデータを得ている。温度変化に対して、静脈は拡張から収縮までその刑を変化させることで対応していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床業務が多忙なため、なかなか研究に従事する時間が取れない
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今後の研究の推進方策 |
(1)ノルアドレナリンを末梢静脈から投与することはこれまで禁忌とされていた。しかしながら、手術中に血圧が低下し持続的な血圧上昇薬が必要となった際に、ノルアドレナリンは有用と思われる。ノルアドレナリンの末梢静脈からの投与に関する安全性については十分に検討されているとは言えない。今回考案した血管径の測定装置は、当教室オリジナルであり、患者に無侵襲で血管径の変化を測定できる点で画期的である。
(2)これまでに全身麻酔時の静脈の血管径の変化を直接的にヒトで観察した研究はなく、得られた結果は、全身麻酔時の循環変化に関する新たな知見と成り得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が予定よりも遅延しており、消耗品および試薬の購入計画も遅延しているため。
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