研究課題/領域番号 |
19K09332
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菅原 陽 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00596413)
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研究分担者 |
古賀 資和 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00637233)
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肺動脈コンプライアンス / インピーダンス測定 / Windlessel 3要素model / 超音波ドプラー測定 |
研究実績の概要 |
本研究での目的である肺高血圧クライシスモデルでの循環動態の解析を行うにあたって、肺高血圧クライシスモデルの作成はこれまでの当教室での実績から確立することが出来たと考えられる。これまでは右室に留置したカテーテルからの右室圧を肺動脈圧の指標として代用していたが、直接肺動脈にカテーテルを留置することで肺動脈圧が測定可能であることを予備実験で確認した。当該モデルを用いた肺動脈コンプライアンス、特定インピーダンスの測定法は超音波ドプラー測定用のプローベを用い、開胸したうえで露出した肺動脈の肺血流量を測定することに予備実験で成功した。これらの結果により、今後Windlessel 3要素modelを用いた肺動脈コンプライアンス、インピーダンスの計測に必要なデータの収集が可能であると考えられるため、今後さらなる精度の向上、データ収集、データの解析を行っていく予定である。肺葉切除による肺高血圧モデル及び肺高血圧クライシスモデルの作成にも成功しており、異なる肺高血圧モデルを使用した肺高血圧クライシス状態における肺動脈床特性を含む肺循環の評価と、治療効果を上記の手法で評価する予定である。 肺高血圧クライシスモデルにおいてAVPが生存率を改善することは当研究室からの報告で明らかにされている。AVP投与下での肺動脈コンプライアンス測定、インピーダンス測定を行う予定である。更に現在、強心薬であるドブダミンの肺高血圧クラシスに対する作用を検討中であり、今後ドブダミン、ノルエピネフリン、フェニレフリン投与下での循環動態の変化、肺動脈コンプライアンス測定、インピーダンス測定を行いWindlessel 3要素modelを用いた解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットを用いた肺高血圧クライシスモデルの確立はすでに成功している。予備実験で肺動脈圧の直接測定に成功し、超音波ドプラーによる肺血流量の測定が可能であることは確認した。今後安定したデータを取得し、インピーダンス及び肺動脈のコンプライアンスを測定するためには実験の精度を上げる必要があり、そのために必要な超音波ドプラーの測定機器の選定について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
肺高血圧クライシスモデルは以下の方法で作成する。すなわち、モノクロタリン誘発肺高血圧ラットを全身麻酔人工呼吸下で体血圧、肺動脈圧を同時測定し、吸入酸素濃度を100%から10%へ低下させ急性右心不全状態とする。その成立は右室圧が体血圧と等圧以上と定義する。モデル作成前後で、熱希釈式心拍出量、体・肺血管抵抗、心臓超音波検査による左右心室の面積比、心室中隔壁運動を評価する。肺動脈コンプライアンス、特性インピ ー ダンス、血管抵抗等を測定し、肺血管床特性の変化を観察する。血管収縮薬の治療効果検討のため、PHC成立後、ドブダミン、AVP、Phenylephrine, norepinephrineを静脈ラインより持続投与し、評価する。そのほかにも肺切除PHモデル、Sugen-hypoxiaPHモデル作成した上で、モノクロタリンモデルと同様に全身麻酔人工呼吸下に10%酸素で換気し、肺高血圧クライシスを模した急性右心不全状態とする。肺血管床特性等を測定し、モデルの違いによるP病態の多様性、血管収縮薬による影響、治療効果を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
肺動脈コンプライアンス測定及びインピーダンスを測定するために必要な超音波ドプラー測定機器の選定中であり、決定次第導入予定である。また、動物腎炎に必要な薬品、手術道具の購入も予定している。学会参加のための費用としての旅費、論文作成および投稿する際に必要な予算も計上する。
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