• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

末梢マクロファージに着目した神経障害性疼痛の病態理解と治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K09333
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

岸岡 史郎  和歌山県立医科大学, 薬学部, 学長特命教員(特別顧問) (60137255)

研究分担者 木口 倫一  和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (90433341)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードマクロファージ / 神経障害性疼痛 / DREADD / 末梢神経 / 神経炎症 / サイトカイン / アロディニア / 坐骨神経
研究実績の概要

研究代表者らはこれまでに、傷害末梢神経に浸潤する炎症性マクロファージが神経障害性疼痛の末梢性責任細胞であることを提唱してきた。本研究の目的は、新しい遺伝子改変マウスを用いて炎症性マクロファージを特異的に調節し、神経障害性疼痛の病態分子基盤を担うマクロファージの役割を解明することである。マクロファージのマーカー分子であるCx3cr1プロモーター制御下でCreを発現する系を用い、Cx3cr1陽性細胞において変位型ヒトムスカリン受容体3(hM3Dq)または4(hM4Di)を発現するマウスを作製した。坐骨神経傷害や抗がん薬誘発性の機械的アロディニアは、hM4Diマウスを用いてGi-DREADDを全身性に誘導することによっていずれも抑制された。対照的に、hM3Dqマウスの坐骨神経領域にGq-DREADDを局所的に誘導すると、機械的刺激に対する逃避反応閾値の低下(アロディニア)が認められた。また薬理学的な検討を行うため、坐骨神経傷害に加えて高脂肪食に給餌による2型糖尿病性神経障害性疼痛モデルマウスを作製し、マクロファージの活性化が機械的にアロディニアに及ぼす影響を評価した。マクロファージの枯渇薬や特異的毒素を投与すると、機械的アロディニアが抑制されることが示された。さらに代表者らがマクロファージ抑制薬としてすでに見出しているTC-2559などのα4β2ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストを坐骨神経領域や全身性に投与すると、病態の進行度に関わらず、機械的アロディニアが抑制されることを明らかにした。本研究を通じて、末梢神経における炎症性マクロファージが様々な成因の神経障害性疼痛に共通して重要であることが明らかになり、新しい治療標的として有望である可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] ウェイクフォレスト大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ウェイクフォレスト大学
  • [雑誌論文] Functional consequences of short-term exposure to opioids versus cannabinoids in nonhuman primates.2023

    • 著者名/発表者名
      Ding H, Kiguchi N, Mabry KM, Kishioka S, Ko MC.
    • 雑誌名

      Neuropharmacology.

      巻: 223 ページ: 109328

    • DOI

      10.1016/j.neuropharm.2022.109328.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Functional roles of neuromedin B and gastrin-releasing peptide in regulating itch and pain in the spinal cord of non-human primates.2022

    • 著者名/発表者名
      Kiguchi N, Ding H, Park SH, Mabry KM, Kishioka S, Shiozawa Y, Alfonso Romero-Sandoval E, Peters CM, Ko MC.
    • 雑誌名

      Biochem Pharmacol.

      巻: 198 ページ: 114972

    • DOI

      10.1016/j.bcp.2022.114972.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Potential therapeutic targets for the treatment of opioid abuse and pain.2022

    • 著者名/発表者名
      Kiguchi N, Ko MC.
    • 雑誌名

      Adv Pharmacol.

      巻: 93 ページ: 335-371

    • DOI

      10.1016/bs.apha.2021.09.002.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Tas2R signaling enhances mouse neutrophil migration via a ROCK-dependent pathway.2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi D, Watarai T, Ozawa M, Kanda Y, Saika F, Kiguchi N, Takeuchi A, Ikawa M, Matsuzaki S, Katakai T.
    • 雑誌名

      Front Immunol.

      巻: 13 ページ: 973880

    • DOI

      10.3389/fimmu.2022.973880.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] GRPによる霊長類のかゆみ調節機構2022

    • 著者名/発表者名
      木口倫一
    • 学会等名
      環境医学研究所・順天堂かゆみ研究センター第8回学術シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 脊髄ミクログリアの性差はアンドロゲンによって決定される2022

    • 著者名/発表者名
      木口倫一, 雑賀史浩, 波多野裕, 日野信次朗, 鈴木堅太郎
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会・第43回日本臨床薬理学会学術総会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi